バックカントリー必要装備|人気のバックパックに入れ比べてみたら?

「1DAYバックカントリー」にはどのような装備が必要で、それらをバックパックに入れたら、どのような感じになるのか? 収納力や機能性、背負ったときのフィット感や動いた際のバランスなど、これらをチェックしたり比較することを通じて、バックパック選びのコツをつかんでいただきたい。

バックカントリーに必要な装備とバックパックは?

バックカントリーには、セーフティギアをはじめいろいろな装備を持っていかなくてはならない。当然、バックパックを背負いながら滑ったりハイクアップしたり、さまざまに動く必要がある。すると、一体どんなバックパックがいいのか? 特にまだ経験が浅い入門者にとっては、バックパック選びは意外と悩ましいものだ。それならば、経験豊富な専門家に教えてもらうのがいい。

今回の指南役は、石井スポーツの甘利祐貴(あまりゆうき)さん。クライミングや山岳スキーなど、プロガイドも目指して修行中という山のプロフェッショナルだ。

1DAYバックカントリー向け装備[経験を積んだ人編]

こちらが2024年現在、甘利さんが普段ワンデイの日帰りでバックカントリーに滑りに行く際の装備の一式。経験を積んで、もっと深くもっと高く、などアルパインのレベルが上がるほど、装備もテクニカルになっていく。どのようなものを持っていくのか、写真とリストを一緒に見てみよう。(写真のアイテム番号と表の番号は連動)

  アイテム名 ブランド 商品名 セレクトした・愛用している理由
1防寒ジャケットPatagoniaDASパーカー
DASライトパーカー
濡れに強い化繊タイプをチョイスしています。外気温、風速等に応じてダスパーカー及びダスライトパーカーを使い分けています。
2スコップG3アビィシャベル機動性を考慮して持ち手がD型のタイプを選んでいます。また、シャベルの背の部分に凹凸が少なく積雪断面をより綺麗に整えれるので使用しています。
3プローブBCASTEALTH300カーボンプローブ内のワイヤーが外に露出しないスマートな構造です。積雪期は300㎝以上を携行しています。
4地図 
コンパス
SUNTO
国土地理院
1/25000地図地図の定番。
5ゴーグルsweetprotecthionCONNORフレームレスで視野の広さが気に入ってます。使用レンズは「RIG light amethyst」。基本的に明るめのレンズをチョイスし、「あらゆる天候下でも見える」を前提にレンズを選んでいます。
6サングラスsweetprotecthionSinobi photochrimicハーフフレームで頑丈さが際立つサングラス。あらゆる環境下で順応できるように調光レンズを使用しています。
7ヘルメットsweetprotecthionigniter 2vi mips見た目、カッコよさでこのヘルメットを選びました。イヤーパッドの取り外しができるポイントもグット。
8ファースト
エイドキット
montbellファーストエイドバックSここまで収納力が有りつつ、使い勝手の良いファーストエイドバックはあまりない気がします。ファーストエイド以外にもビバーク装備、ヘッドライト等を入れても余力があるサイズ感です。
9ツエルトアライテントスーパーライトツエルト2ロング山行、パーティー人数等に合わせてサイズを使い分けています。
10ビーコンMAMMUTバリーボックスSトリプルアンテナの最新タイプ。
11無線機八重洲無線4級アマチュア無線使用。 メンバーによっては業務用無線を使用。
12気象、積雪観察キットフィールド気象観察、積雪観察を随時行うために携行。
138MM×30Mロープエーデルリッドガイドアシストプロドライスキーカット、不測の事態に備えて携行。
14クライミングスキンKOHLAピークラインミックス強すぎない粘着力と携帯性を重視して、このシールをチョイスしています。
15飲み物THERMOS STANLEYTHERMOS
・山専ボトル750
・ゴー真空ボトル0.37L
山専ボトルのサイズは山行によって使い分けています。また、ゴー真空ボトルは山の中で暖かいコーヒーが飲みたいので携行。時間がなく、家で淹れられなかっときもコンビニコーヒーがちょうど良く入るサイズ感です。かなりお気に入りです。
16行動食グラナイトギアエアジップザックXXS5ℓ山行時間、強度によって行動食の量を調整しています。持っていくものは・凍りにくい食べ物・動物性油が少ないものベースに選定しています。
17グローブSCCOT・HESTRA・ニトリルSCOTT:アルティメイトプリマロフトミトン
HESTRA:leatherWOOL
18クライミングギアガイドロープを要するシーンで使用。

1DAYバックカントリー向け装備[入門・一般編]

では、入門者、まだ経験が浅い方なら、このような装備で十分すぎるほどだろう。先の[経験を積んだ人編]に比べると、ロープやクライミングギアは入っていない。

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セレクトした注目のバックパック3点とその特長

今回、甘利さんが「収納や背負い心地比べ」にピックアップしたのは以下の3点。いずれもメジャーブランドの人気モデルだ。1DAYでのツアーということを考えると容量は30~35ℓが適切とのこと。パッと見た目の時点ですでにいろいろなことがわかる。

THE NORTH FACE
Chugach 35

容量:35ℓ
Size:S/M/L(高さ×幅×奥行)S/M 57 / 30 / 14cm
Weight:S/M:1,580g、L:1,655g
¥36,300

※’24ー25季最新モデルはこれらのカラー展開となっている

Chugach 35の目利きポイント]

まず、大きな特長が珍しい2室構造。上部に濡らしたくないシールやカメラ、逆に濡れてしまったシール、すぐ取り出したい衣類などを収納できて、メチャメチャ使える。最大の魅力は薄さ。高強度の生地を使いアルミフレームも入っているので他のザックより若干重くはなるが、この薄さはすごい。ザックと体の密着感があればあるほど滑りやすい。特にフリーライドではスピードを出したり飛んだり回ったりするため、このポイントは超重要。

OSPREY
Solden 32

容量:32ℓ
Size(高さ×幅×奥行):54 / 31 / 28cm
Weight:1,150g
¥26,400

※’24ー25季最新モデルはこれらのカラー展開となっている

Solden 32の目利きポイント]

背面開きの先駆けとなったOspray。特に魅力のポイントは3点。まず、圧倒的な軽さ。わずか1.150gと格段に軽い。そしてザックと一体になっているヘルメットホルダー。これがあれば風で飛ばされることはまずない。そして、必要最低限の機能が詰まっている点。初めての人やシンプルに使いたい人にとっては、必要最低限の機能のザックはとても優れたものになるからだ。

Deuter
FREERIDER PRO34
+

容量:34ℓ
Size(高さ×幅×奥行): 58 / 35 / 18cm
Weight:1,280g
¥33,000

※’24ー25季最新モデルはこれらのカラー展開となっている

FREERIDER PRO34+の目利きポイント]

シンプルなザックとは対照的に機能が満載の点が魅力。開けると収納ポケットがたくさんある。そしてトップにロールダウン式の拡張部があり、すごく使い勝手がいい。トップからロープを束ねるストラップが出ていて便利。山岳ツアーをやる人には嬉しい機能。

装備をザックに詰めてみたら

3つのザックの優れている点や機能性について知った上で、1DAYバックカントリーツアーに必要な装備を順番に詰め込んでいった。さて、どんな感じになっただろう? 今回、バックパックに詰める装備はこれら一式の11アイテム。(’22ー23季に甘利さんが使用していたもの)

並べるとなかなかのボリュームに見える

3つのバックパックに上記の装備を全部詰め込んでみた状態がこれらの写真だ。

THE NORTH FACE Chugach 35

2室構造なので上部にゴーグルなど収納。整然と並べられるほど、かなり余裕で収納完了

OSPREY Solden 32

ほどよいぴったり感! 

Deuter FREERIDER PRO34+

こちらもまだ余裕がありそう

3つのバックパックを重要ポイントでチェックしてみた

1DAYバックカントリー向けのバックパック選びの際に重要視したい点、フィット感、多機能性、薄さ、収納性、コストパフォーマンスで、今回セレクトした3つのバックパックをチェックしてみた。

3つのバックパックと詰め込みぶりを動画でチェック!

甘利さんに3つのバックパックの特長や使い勝手を解説してもらい、1DAYのバックカントリーに必要な装備(すべて甘利さんの私物)を実際に詰めてもらった動画。甘利さんはどこにどのアイテム詰めているのか、といった装備の詰め方、ザックを背負った時の感じや、跳ねたり体を動かしてみた時のザックの様子がよくわかる。