世界ラリー選手権(WRC)最終戦ラリージャパンでは、競技区間に一般車両が侵入するという事件が発生した。この件については、FIAも調査に乗り出した。
この事件が発生したのはDAY3午前のSS12。Rally1のドライバー8名のうち6名がタイムを記録した後、安全確保のためステージがキャンセルされることとなった。
国際映像では、スタートを待つエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタ)に対して、黒いバンが向かい合わせて止まっている様子が映されていた。
ラリージャパン2024実行委員会からの報告によると、この一般車両のドライバーは検問所で通行証の提示を求められた際、その通行証を所持しておらず、その後検問を突破してステージに侵入したという。
エバンスの目の前に止まった一般車両はコース外へ退避するよう求められたが、これにも応じず、十数分間同じ場所にとどまった。その後地元警察が現場に駆けつけ、当該の一般車両をステージ外へ排除した。
ラリージャパンで一般車両が競技中のステージに侵入したのは、2022年以来2度目のこと。当時はRally2ドライバーのエミル・リンドホルムとサミ・パヤリが逆走する車両に遭遇した。
FIAのロードスポーツディレクターを務めるアンドリュー・ウィートリーはmotorsport.comの取材に対し、次のように語った。
「まず、時系列でどのような状況であったかを正確に理解する必要があるが、どのような状況であったかはハッキリしていると思う」
「このような状況は以前にもあった。まず何が起こったのか、どのように起こったのか、そして今後それを避けるためにどうすればいいのかを正確に理解する必要がある」
「これまでのやり方が十分ではなかったというのは明らかであり、前へ進むための解決策を見つける必要がある。言い訳はできない」
「物理的なバリアがなかった過去とは異なる。(警察に)拘留されている何者かによるモノだ。警察は彼をどうするか確認している」
「前回(2022年)とは異なる。明日のため短期的に行なわれた措置は、第三者を交え、今日のステージと特に最後のステージを独自に検証してもらうというモノだ。彼らは、このようなことが二度と起こらないように、物理的なバリアを確実に設置するために配備された」
ウィートリー曰く、今回の事件はFIAクローズドロード安全委員会によって検証され、来年の大会に影響を及ぼす可能性があるという。昨年の時点で、ラリージャパンは2022年の安全違反を受けて“イエローカード”の警告を受けていたのだ。
「(来年の大会への影響について)コメントしたくないが、非常に深刻な問題だ」とウィートリーは続けた。
「課題は、これが良いイベントであり、良いオーガナイザーがいるということ……そしてどうすればこのイベントをより安定したモノにできるかを理解する必要があるということだ。(コース侵入によって)負傷者や2次的な問題がなかったのは良いニュースだ」
「この問題はクローズドコース安全委員会に送られる。仮に安全報告書に規定外のことがあれば、イエローカードのプロセスを経て、クローズドコース安全委員会の代表団によって評価を受け、勧告を受けることになる」
「まず問題の重大さが判断され、次に問題を解決するためのプロセスが決定され、それが実行に移される。主催者チームにとっては重大な挑戦であり、昨年よりもはるかに厳しい監視下に置かれることとなる」