マンホールの”大打撃”から1年……今度こそフロントロウからラスベガス決勝に挑むサインツJr.、混戦を予想「分からないことが多すぎる」

 フェラーリのカルロス・サインツJr.は、F1ラスベガスGPの予選で2番手。決勝レースをフロントロウからスタートすることになった。マンホールの蓋に当たったことで大ダメージを被った初開催から1年……サインツJr.は今年こそ勝利を狙う。

 2023年に初開催されたF1ラスベガスGP。その初日FP1では、コース上のマンホールの蓋が外れ、走行するF1マシンに当たるという事故が発生した。その被害を受けたのはアルピーヌのエステバン・オコンとフェラーリのサインツJr.であり、特にサインツJr.のマシンは、モノコックやエンジン、バッテリーをも損傷してしまうという大きなダメージを受けた。

 サインツJr.はマシンを修復して予選では2番手となったものの、ダメージを受けたことによってPUを交換したため、10グリッド降格というやるせないペナルティを受けた。そして12番グリッドからスタートしたものの、6位フィニッシュが精一杯であった。

 今年も予選順位こそ同じであるものの、ペナルティはなし。今度こそ優勝できると期待していると、FIAの会見に臨んだサインツJr.は語った。

「ポールポジションを獲得できると思っていたんだけど、最後にはジョージ(ラッセル/メルセデス)がすごく速くやってきた」

「フィニッシュラインを最後に通過すると思っていたから、ポールを取ったと思ったんだ。でも突然、ジョージが来たと言われた。メルセデスは、今週末ずっと速かったからね。特にアタックラップでは、僕らよりも少し前を行っていた」

「でも、この順位はすごく嬉しいね」

 昨年はマンホールに”阻まれた”サインツJr.。しかし今年はそれもないので、好結果でフィニッシュできることを期待している。

「昨年も2番手だったけど、有名なマンホールの蓋のせいで、12番グリッドになってしまった。今年は2番グリッドからスタートできるから、もっと良い順位でフィニッシュできるといいな」

「決勝はもっと上で戦えるという自信がある。勝利を狙えるかもしれないし、それが目標になるはずだ」

「もちろん、オーバーテイクと戦略が重要だから、今日とは違うモノになるはずだ。セクター1では、メルセデスが飛ぶように走り、僕らよりも0.3秒も速かった。でも周回が進むにつれて、僕らは追い上げていったんだ」

 ラスベガスでは、各車のダウンフォースレベルが違っているように見える。非常に長い全開区間があるため最高速を重視するもの、あるいは決勝でのロングランを見越して、タイヤを労わるためにダウンフォースを多めにつけているもの……しかも路面は、連日走行開始時には”汚れた”状態に戻るため、優勝争いは、どんな展開になる可能性もあると、サインツJr.は考えている。

「明日は、誰もがグレイニングが出やすいタイヤを履き、燃料を多く搭載する……つまり、予選とは大きく異なるコンディションで走ることになる」

「グレイニングをうまく抑えることができるのは誰か? ということになるだろう。ミディアムタイヤで苦労しているチームもいくつかあるし、ハードタイヤでも勢力図がリセットされる。今年の僕らは、ハードタイヤをうまく使えているチームではない。だから、分からないことが多すぎる」

「マックス(フェルスタッペン/レッドブル)だって分からない。彼らのようにダウンフォースが大きいマシンならば、タイヤとグレイニングをうまくコントロールできるかもしれなない。混戦の中に加わってくるかもしれないんだ」

「僕らは多くのマシンと対峙していると思うし、それが今のF1の美しさだと思う。予選では4チームがポールポジションを狙える状態だった。その4チームはすべて、明日勝ちを狙えると思う。これは、誰にとっても素晴らしいことだと思う」

 なおフェラーリは現時点でコンストラクターズランキング2番手。マクラーレンからタイトルを奪い取るには、今回の結果が非常に重要になる。そのことを、サインツJr.も十分に認識している。

「正直に言って、マクラーレンに勝つためには、勝利することが必要だと思っている。チャンピオンシップにおいては彼らとは大きな差がある。彼らの前でフィニッシュするだけではダメなんだ」

「次のカタールは、僕らにとって良いコースではないと思うし、苦戦するだろうと思う。だから、僕らは今回勝つ必要があるだろうね」

「とはいえ、僕のアプローチが大きく変わるわけではないよ」