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北朝鮮は納税のない国と自画自賛するが、実際は過重な物品納や穀物納など隠れ税金が存在するのは周知の事実。だが、これが本当の“血税”である。

ウクライナに派兵された北朝鮮兵の報酬は1人30万円。金正恩総書記は資金枯渇に喘いでおり、頼みの綱は派兵軍人の“命の対価”のみだ。

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「11月11日にウクライナのゼレンスキー大統領は、越境攻撃を続けるロシア南西部・クルスク州で、約5万人のロシア軍と交戦中(対するウクライナ軍は2〜3万人)であることを明らかにしました。5万兵力の中には北朝鮮兵約1万2000人も含まれているとみられます。ウクライナ軍が進出しているロシア領は、650平方キロほどの突出部だけですが、ここのウ軍勢力を排除するため、ロシア軍が新たな反攻に乗り出して10日以上が経過しました。凄まじい人的損害を被る一方で、これまでのところ目立った戦果はありません。戦闘の最終的な結果がどうであれ、ロシア側はおそらく途方もない数の人的損害を出す公算が大きい。北朝鮮兵にも相当数の犠牲者が出ている模様です」(国際ジャーナリスト)

11月10日にウクライナ国防省情報総局が、ロシアに派遣された北朝鮮軍の無線通信内容を傍受した音声を公開した。

これを聞いた北朝鮮の最精鋭部隊である『暴風軍団』出身の脱北者は「若い未熟な兵士である可能性がある。暴風軍団ではないだろう」と分析した。

新兵の背後に暴風軍団が控えている可能性はあるにせよ、いずれにしても電子戦に不慣れな北朝鮮兵が壊滅する悲劇的な末路は否定できない。

ロシアは26万人の派兵要求をする可能性も

そうした一方で、さる北朝鮮ウオッチャーはこう付け加える。

「ミリタリーバランスによると、北朝鮮正規軍は世界第4位の約130万人もいるが、土木作業員を兼務する兵も多く、戦闘力を持つ兵士は60万人程度とみられ、その多くは忠誠心が比較的高い中間幹部家庭の出身です。今回、派兵された兵士の多くも中間層の出身者とみられています。ロシア政権は、米国のトランプ次期政権がウクライナに致命傷となる援助を打ち切ったり、戦線を現状で凍結する休戦案をウクライナにのませる事態も想定し、来年1月20日にトランプ氏が大統領に就任するまでの約2カ月間で、できるだけウクライナ領土内へ深く素早く前進しようと焦っています。プーチン大統領がクルスク奪還を第1命令にしているのはその表れです。従って、ロシアは北朝鮮軍130万人のうち20%の26万人を送ってほしいと要求しているはず」

北朝鮮は致命的な外交上の失態を犯している。

11月4日にロシアを訪問しプーチン氏と握手を交わした崔善姫外相は「我が国は(ウクライナ戦争で)ロシアが勝利する日まで同志であるロシアを断固支援する」と明言してしまったことだ。

「この発言は正恩氏の許可を得たものでしょうが、今後、北朝鮮に重くのしかかることになる。というのも、兵員数についてロシアは北朝鮮の国内情勢や対韓国との関係などお構いなしに求めるに違いないからです。ですから正恩氏は今、トランプ新政権を藁にもすがる思いで見つめているでしょうね。トランプ氏は大統領選前から『(自身が大統領なら)1日で(ウクライナでの)戦争を終わらせるだろう』と語っており、早期停戦になれば、北朝鮮軍も損害を増やさずに済むからです」(外交関係者)

北朝鮮のウクライナ派兵は、金正恩体制の終焉をもたらすかもしれない。

「派兵の兵士に多数の死傷者が出れば、両親などは黙っていないでしょう。北朝鮮は一度兵役に就くと音信不通になるのが常ですが、“人の口”に戸は立てられません。戦死の情報は親族や関係者を動揺させ、金正恩体制は批判される。運よく派兵兵士が生き延びても、海外の情報を北朝鮮に持ち帰ることになりますから、正恩氏の神聖化は大きく棄損され、内乱の火種を抱えることになります」(前出・国際ジャーナリスト)

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中国は正恩排除も視野

そうなると、朝鮮半島は大動乱だ。

「韓国の憲法第3条によれば、韓国の領土は朝鮮半島全域に及び、建前上、南北住民はすべて韓国民と位置付けられています。反乱勢力が北朝鮮の民主化を掲げればなおさらで、韓国政府が反乱勢力支援のため韓国軍を北進させるならば、在韓米軍もそれを支援せざるを得なくなる。となれば、派兵での兵力・武器不足状態にある北朝鮮政府軍の敗北は必至であり、これは金正恩政権の消滅を意味する。朝鮮半島は韓国一色となり、中国は在韓米軍と対峙しなければならない。そうなる前に中国は、北朝鮮政府軍を支援するのではなく反乱勢力を支援し、正恩氏を排除してすぐさま親中政権を樹立してしまいかねません」(前出・外交関係者)

正恩氏は、こうした事態を見越し、反中国を宣言してロシアへ接近を図ったフシもある。

「北朝鮮とロシアは、今年6月に『包括的戦略パートナーシップ条約』を締結した。正恩氏は同条約を盾に内戦や米韓軍の北進という朝鮮有事の際、ロシアが北朝鮮政府軍に加担してくれることを期待している。そのためのウクライナ派兵でロシアに恩を売った形です。ただし、ロシアは1941年の『日ソ中立条約』を見るまでもなく、条約破棄を得意技としている国ですから、北朝鮮を見捨てる公算が大」(同)

正恩氏のウクライナ派兵の大博打は、結果的に自らの首を絞めることになりそうだ。

「週刊実話」12月5・12日号より