「フォロワー数が10倍に」若手俳優たちの新たな“登竜門”! “朝ドラ”“戦隊モノ”に続くショートドラマのメリット

「若手にとって演技の経験を積む貴重な場」

1つ目は、「様々な役柄に挑戦でき、演技力が高まる点」と井上氏は語る。

「地上波ドラマ出演はもちろん大きなチャンスですが、若手だと毎回のセリフが1~2つしかない役ということもあります。対して、『まいはに』では、まず週2~3作品を撮影しているので、俳優さんには数多くの役を演じてもらうことになります。

さらにその役柄も、ヒロイン・ライバル、いじめっこ・いじめられっこなど、本当に幅広いので、演技の経験を積む場になります」(井上氏)

ちなみに、動画のコメント欄には「いじめっ子の役もうまい」といった視聴者からの声が集まる。俳優にとっては、自身の反省点や良い部分を見つける良いきっかけになっているようだ。

2つ目のポイントは、演技をしっかり見えてもらえる点だ。

『まいはに』で配信されるショートドラマは平均再生回数が400万回という高い数字を記録している。

さらに平岡氏によると、「ショートドラマの尺はTikTokの中では長いほうですが、『まいはに』の完全視聴率(最後まで動画を見終える率)は高い」という。

TikTokといえば、流行りの曲に合わせてダンスをする動画をイメージする人もいるだろう。

このようなトレンドをおさえた動画はバズりやすいと言われており、実際、ダンス動画を投稿する若手俳優・タレントも多い。

だが、ダンス動画でバズっても、俳優としての認知や興味関心につながるかは別モノ。ショートドラマは、本業である演技を見てもらえるメリットがある。

「今は横型のショートドラマもNUTS FILMさんと組んでyoutubeで配信しています。

これも、縦型の画面サイズのなかだけの演技ではない経験を積んで、演技力を高めていただくきっかけになればと思っているところもあるんです」(平岡氏)

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「ショートドラマをきっかけに、TikTokのフォロワー数が10倍に急増」

芸能事務所がショートドラマに所属俳優を出演させたいと考える3つ目のポイントは、継続して出演することでファンをつかむことができる点だ。

鎌田あゆが所属するオスカープロモーションのマネージャーによると、特に若年層のファンが増え、鎌田個人のTikTokアカウントのフォロワー数は当初の10倍ほどにあたる12万人にまで増えたという。

「ショートドラマに出演し続けることで、固定のファンの方が付いてくださるので、今後活動していく上でかなり強みになってくると思います。

若年層の方に知っていただけた事により、学生向け商品の案件や学校関連を中心に新規でお問い合わせをいただくことが増えています」(オスカープロモーション・マネージャー談)

井上氏と平岡氏は、今後も若手の飛躍を後押ししていきたいと語る。

「これから名前を売っていきたいという若手の方を中心に、一緒にやっていきたいという想いがあります。今後は、オーディションを行い、“まいはにファミリー”を増やしていくことも計画しています。

キャストのみなさんには、毎週かなりの時間を『まいはに』の撮影に割いていただいて、製作陣の我々もありがたいと思える。

せっかくご一緒するみなさんには、TikTokのショートドラマだけではなくて、新しい活躍の場を広げていただきたい。

YouTube上では10分以上の作品も作ろうとしているのですが、ある程度の長さの作品の中での演技経験にもなる。キャストの成長できる場面も作っていきたいというのも、裏のテーマとしてはあります。

そしてキャストの人気が高まることは、結果、『まいはに』自体のブランド力を上げることにもつながると考えています」(平岡氏)

ショートドラマは、TikTokで配信される作品のみならず、最近では課金制ショートドラマを扱うプラットフォームも増えている。ショートドラマに出演する若手俳優はますます増えそうだ。

取材・文/羽田健治