最後までもつれ込んだメーカー対決はトヨタに軍配! 僅差でヒョンデ逃す。総合優勝エバンス|WRCラリージャパンDAY4午後

 2024年の世界ラリー選手権(WRC)を締めくくるラリージャパンでは、トヨタのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組が総合優勝を掴んだ。トヨタの勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は総合4位だった。

 愛知県と岐阜県をまたぐ形で開催されたラリージャパン。DAY1からアクシデントが連続し、最終日となるDAY4の午前中にはラリーリーダーだったヒョンデのオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組がクラッシュで姿を消すというまさかの事態が起きた。

 今年のWRCでは、DAY3/土曜日までの総合順位でトップ10に入ったドライバーにポイントが配分され、“スーパーサンデー”と言われるDAY4/日曜日は独立した順位でトップ7のドライバーに再びポイントが与えられる。ただ、これらのポイントが最終的に加点されるのは“ラリーを完走したドライバーに限る”という条件付き……つまり、タナクを失ったヒョンデは、トヨタと接近したマニュファクチャラーズタイトル争いを繰り広げる中で、獲得可能なポイント数が大きく削られたのだ。

 DAY4午前のループを終えた時点で、総合首位はエバンス。チームメイトのセバスチャン・オジェ/ヴァンサン・ランデ組が総合2番手、M-スポーツ・フォードのアドリアン・フルモー/アレクサンドル・コリア組が総合3番手につけた。

 一方スーパーサンデーでは、タナク脱落でWRCドライバーズ/コドライバーズタイトル獲得が決まったヒョンデのティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ組が暫定首位。チームメイトのアンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン組が2番手と攻勢を見せ、暫定ながらマニュファクチャラーズタイトル争いでヒョンデとトヨタが553ポイントで並ぶという状況となった。

 豊田スタジアムのスーパーSSでの3走目となるSS20は、M-スポーツ・フォードのグレゴワール・ミュンスター/ルイ・ルーカ組とのデュエルを制した勝田が1分44秒1の最速タイムでステージ優勝。総合順位に大きな変化はないが、フルモーを挟んでステージ3位となったミケルセンは、最終パワーステージを前にスーパーサンデーで首位に立った。

 迎えた三河湖SSでの最終パワーステージ。マニュファクチャラーズランキングでは、各メーカーの上位入賞2名のみがポイント獲得の対象となるため、ワンツー態勢を築くトヨタは、エバンスとオジェを無事に完走させつつ、総合4番手の勝田にトップ5がボーナスポイントを獲得できる最終パワーステージでリスクを負わせるという戦略を採ることが可能だった。

 パワーステージはRally2クラスの総合トップ3から出走。Rally1の先頭出走となったミケルセンはDAY4でスピードを見せてきたが、ステージ途中でコースオフを喫して木に右フロントカウルをヒット。2秒ほどタイムをロスして8分45秒1でのフィニッシュとなった。

 続くヌービルは8分40秒4で走りきり、今シーズン全てのステージを終えた新たなチャンピオンの帰りを家族や友人が待ち構えた。

 8分50秒3を記録したミュンスターの後ろでは、勝田がスタート。全開走行を誓った勝田だったが、ミスにより2秒程度の遅れ……13.9kmを走りきって8分43秒3とヌービルから2.9秒落ちとなったが、ミケルセンを上回りトヨタドライバーとしての仕事を果たした。

 その僚友オジェはヌービルを上回るペースで飛ばし、8分38秒5でステージ最速をマーク。この時点で残すRally1のドライバーはエバンスのみ……ヒョンデがパワーステージ優勝を逃したことで、トヨタのマニュファクチャラーズタイトル獲得が確定した。

 エバンスは8分42秒4でフィニッシュしてステージ3位で、昨年に続いてラリージャパン総合優勝。トヨタがワンツーフィニッシュを決めた。総合3位は8分48秒6でパワーステージを走りきったフルモーが入った。勝田は総合4位。スーパーサンデーの争いを制したのはヌービルだった。

 最終的に、ヒョンデとトヨタのマニュファクチャラーズタイトル争いは、562対559と3ポイント差で決着した。

 なおRally2クラスでは『頭文字D』に登場する藤原とうふ店トヨタ”ハチロク”仕様のシトロエンC3で話題をさらったニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ組が総合優勝。総合2位となったトヨタ育成サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン組が年間チャンピオンに輝いた。総合3位には全日本ラリー選手権チャンピオンの新井大輝/松尾俊亮組が入った。