社会保障制度が手厚く、世界有数の福祉国家として知られる北欧スウェーデン。国連の持続可能開発ソリューションネットワーク(SDSN)が毎年発表する「世界幸福度ランキング」でも日本の51位に対し、4位と国民が幸せに暮らせる国との評価を得ている。

 だが、実際には大きな問題を抱えている。深刻な治安の悪化だ。世界各国の生活に関する指標を公開するデータサイト「NUMBRO」によると、欧州の犯罪指数ランキング(24年)でスウェーデンは、フランス、ベラルーシ、ベルギーに次いで4位。隣国のノルウェー(25位)、フィンランド(34位)、デンマーク(35位)が下位であることを考えると、北欧の中ではかなり悪いと言える。

「首都ストックホルムをはじめ、ヨーテボリやマルメなどの主要都市で治安の悪化が顕著です。欧州は米国や中南米、アフリカに比べると銃犯罪は少ないですが、スウェーデンの銃犯罪率はEU圏では非常に高く、強盗や強姦など他の凶悪事件の割合も多いです」(欧州事情に詳しい全国紙記者)

 こうした凶悪犯罪に加え、若者の間に蔓延する薬物の売買にも関与しているのがギャングだ。スウェーデンは70年代以降、移民の積極的な受け入れを行っており、ギャングの構成員には移民にルーツを持つ者も多い。

「警察だけでは対処しきれず、軍に支援を要請したほどです。ただし、ギャングの中にはオモテのビジネスに進出して成功を収めた者も多く、フロント企業化して悪事の証拠を掴みにくくなっています。そのため、末端の構成員は検挙できてもトップにはなかなか手が出せないんです」(同)

 また、組織同士の抗争も多く、関係のない一般市民が巻き添えを食って亡くなる事件も起きている。これを他所の国の話と片付けてしまうのは簡単だが、対岸の火事ではないかもしれない。

「日本は移民受け入れに消極的ですが、すでに外国人労働者抜きでは社会が回らなくなっています。彼らのほとんどは善良な市民ですが、残念ながら外国人が多い地域の中には治安悪化が報告されているところもあります」(同)

 闇バイト強盗など凶悪犯罪の横行で、日本の治安は揺らぎつつある。これ以上、スウェーデンのような状況にならなければいいが…。

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