「どこに行っても花咲かず、契約がない選手も。実はそういう集まり」J3王者の大宮、長澤徹監督&主軸選手が語るチームの成長

[J3第38節]大宮 1-2 富山/11月24日/NACK5スタジアム大宮

 大宮アルディージャは11月24日、J3最終節でカターレ富山とホームで対戦。30分に先制されると、45+2分には2点目を奪われる。86分に茂木力也のゴールで追い上げたが、1-2で敗れた。

 最後は勝利で終われなかったが、今季は初のJ3で圧倒的な強さを発揮。25勝10分3敗の勝点85で、2位のFC今治に勝点12差をつけてリーグを制し、1年でのJ2復帰を果たした。

 かつてはJ1の常連で、2016年には5位と躍進した大宮。その実績やチーム規模から、J3では勝って当然という声も聞かれた。ただ、就任1年目でチームを優勝に導いた長澤徹監督は、そんな意見に反論する。

「大宮の選手は違うって、J3でよく言われていて。でも本当は、これ言っていいのかどうか分からないけど、主力選手は出ていきました。残った選手は、すごいオファーがあったかったかというと、なくて残りました。新たに来た選手も、どこに行っても花咲かず、契約がない選手もいたし、実はそういう選手の集まりで、そこがスタート」

 そこからチームはどう戦ってきたか。19歳にして副主将を務めたDF市原吏音が「ギリギリの試合ばかりだった」と振り返るように、決して“楽勝”続きだったわけでない。また、強度を高めて勝負強さを身につけてきた過程を、長澤監督はこう称える。

「ただ彼らが強くなった。それだけだと思います。価値観を植え付けるだけの何かがあったところで、1年間よく彼らが構築したと思います。リーグは1シーズンを通して、全て集中しないと駄目なので。これからプレーオフがありますけど、我々は全部プレーオフでした。その集中力を保ったのが選手の一番凄いところ。

 そのために毎日練習を組み立てる。トレーニングの強度は2人ぐらいボケちゃうと、保てなくなるのですけど、それを全員で保ったのが素晴らしい。J1、J2、J3であれど、強さを維持するのは大変な作業で、選手がよくやった。だから、本当に褒めてやりたい」
【PHOTO】大声援でチームを優勝に導いた大宮アルディージャサポーター!
 成長を実感する声は、選手たちからも上がった。ボランチとしてフルタイム出場を達成したMF小島幹敏は「チームが強度の高いサッカーをしているので、走る、球際、守備の部分が結構頑張れた」という。

 前主将のFW富山貴光は「3敗しかしていないですし、この結果は非常に満足できるもの。1年間やってきたことが結果として結びついた」と話し、昨季との違いを、こう述べる。

「確実に変わったと思います。結果として失点も少なくなりましたし、得点は増えた。その勝負どころが、だいぶ変わってきました」

 そういった土台はシーズン前半戦にほぼ完成し、後半戦につなげることができた。7月にヴァンフォーレ甲府から完全移籍で加入したFWファビアン・ゴンザレスは「正直言って、素晴らしいものばかりで。本当に何一つ悪いものを感じなかった」と回想した。

 レッドブルグループのクラブ買収により、来年1月には「RB大宮アルディージャ」として再出発。J2で新生大宮がどのような戦いを見せるのか。今から楽しみだ。

取材・文●野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

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