「スーパースターへ駆け上がるための序章だ」弟フランツの決勝弾を兄が称賛「彼があのような経験を積んでいることが嬉しい」<DUNKSHOOT>

 今季のオーランド・マジックは開幕5試合目のシカゴ・ブルズ戦でエースのパオロ・バンケロが右腹斜筋断裂で戦線離脱。同試合からチームは5連敗を喫し、このまま下位に低迷するかと思われた。

 しかし、フランツ・ヴァグナーを中心に、チームはそこから9試合で8勝1敗と持ち直し、現地時間11月23日(日本時間24日、日付は以下同)時点で11勝7敗(勝率61.1%)でイースタン・カンファレンス3位。ホームではいまだ負けなし(8勝)で、フランツはキャリア4年目で初めて週間最優秀選手(第4週:11月11~17日)に選ばれるなど、快進撃の立役者となった。

 今年7月にマジックと5年2億2400万ドルの延長契約を締結した23歳のドイツ人フォワードは、今季ここまで18試合の出場でいずれも自己最多の平均23.6点、5.8リバウンド、5.6アシスト、1.7スティールをマーク。昨季成功率28.1%と振るわなかった3ポイントは35.7%まで数字を伸ばし、1試合成功数も2本台(2.2本)に乗せている。
  21日の敵地でのロサンゼルス・レイカーズ戦では37得点、6リバウンド、11アシスト、4スティールと爆発。2点を追う第4クォーター残り2.5秒にはステップバックスリーを沈め、119-118で逆転勝利の立役者となり、6連勝中だった相手に今季ホーム初黒星を見舞った。

 大黒柱のバンケロ離脱という窮地を見事チャンスに変えたフランツ。ドイツ代表でも一緒にプレーしている兄のモリッツは、米メディア『Sportskeedia』へレイカーズ戦で弟が決めた決勝3ポイントをこう評していた。

「スーパースターへ駆け上がるための序章だ。別に誇張しているわけじゃないけど、今の彼なら自身の実力とどこまで成長できるかも理解していると思う。ああやってプレーメーキングすることで自信を深めている。彼に直接聞いてみなよ。めちゃくちゃハードに練習しているから。(兄の)僕からすれば、彼があのような経験を積んでいることがすごく嬉しい」

 前述の通り、フランツは今夏に延長契約(5年2億2400万ドル)にサインしたが、もし今季オールNBAチームへ選出されれば、その額は2億6900万ドルまで跳ね上がるという。

 マジックがイースト上位を堅持し、フランツもこの調子でハイアベレージを維持できれば、初のオールスター出場、そしてオールNBAチーム入りも決して夢ではないだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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