ひとりカラオケ、ひとり焼肉、ひとり客歓迎の温泉旅館……いまや立派な市民権を得ているソロ活。しかしボリュームや価格の面で、ひとりだと手を伸ばしづらいものもまだまだ存在する。
たとえばホールケーキやスイカやローストチキン。買っても食べきれない、保存がきかない、同じ味が続くと飽きる……などなど切り分け前の「本体」を買うのは勇気のいる行為だ。
ところが新宿に「おひとり様用ホールケーキ」で人気を博している店があるという。人類が求めていたのは、これじゃないか!?
・夜だけオープンするケーキ屋さん「ShortCakeCompany」
眠らない街、新宿歌舞伎町。日没とともに活気を増す繁華街に「夜しか開かないケーキ店」があるという。
JR新宿駅東口から徒歩5分、ビルの上階に向かってひっそりと階段が伸びている。「ホントにここで合ってる?」と思いながら扉を開けると、別世界が広がっていた。
(※店内画像はプレスリリースより)
目指す「ShortCakeCompany」の店内は、白く輝いていた。一歩外に出れば多国籍な酔客が大挙しているのに、路上の喧噪が嘘のようだ。大理石調のテーブルもエレガントな雰囲気を演出している。「あら、私ってばここでは姫……?」と思わず勘違いが始まる。
複数人でテーブルを囲めるソファ席のほか、誰とも視線が合わないカウンターもあるので、おひとり様でも気兼ねがいらない。
テーブルにあるQRコードを読み取り、スマートフォンからオーダー。しっかりした生地の紙ナプキンからは、上品なアロマの芳香がしてドギマギする。
ほどなくしてテーブルに届けられたのは、クラシカルなガラスコンポートに載ったホールケーキ! 看板メニュー「薔薇と苺のショートケーキ」(税込1300円)だ。
サイズは、両手の指で作った輪っかくらい。ホールケーキをそのままスモールライトでミニチュアにしたような可愛らしさだ。
フリルのように絞られた生クリームに、薔薇の花びらの飾り付け。真っ赤な苺がワンポイントになっている。キラキラと輝くのはアラザンだ。
完成したものをカットするショートケーキと異なり、これひとつで完結するフルデコレーション。考えつく限りの「カワイイ」が詰まっている!!
ケーキには別添えでフルーツコンポーツ付き。
新雪に踏み込むがごとく、誰もナイフを入れていないホールケーキにフォークを伸ばす。こんな贅沢が許されるのか!?
自分だけのものだから、ガバッと大胆に削っても大丈夫。ひとくち食べてみると、意外にも甘さ控えめ。上品でフレッシュな味わいが舌に広がる。ロマンティックな店内の様子から、相当甘いんだろうと覚悟していたら、いい意味で予想を裏切られた。
中央には苺と薔薇の花びらのジャムをサンド。スポンジにはリキュール使用で、歌舞伎町らしい大人の味だ。
銀色のアラザンは見た目を華やかにしているだけでなく、歯ごたえのアクセントになっている。カリッとした食感が楽しい。
途中、フルーツコンポートで味変ができる。これも食べ飽きない工夫!
夕食の後だったけれどペロリと食べられた。一般的なショートケーキよりは大きい、だけど食べきれないほどの大きさじゃない、絶妙なサイズ感。そろそろ塩気のあるものが欲しくなってきた……となる前に食べ終わる。
店内では全員ワンスイーツ&ワンドリンクのオーダーが必要。一緒に頼んだ「自家製とろける苺ミルク」(税込800円)もまた凝っていて、自分でソースを注ぎ入れる。
こちらも甘さ控えめで、ソースよりもミルク感が強い。優しい味わいが心をゆるゆると溶かしてくれる。うるさすぎない落ち着いた雰囲気の店内には、優雅な夜時間が流れていた。
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・ファミリーや男性客も歓迎
営業時間は仕事後でも十分に来られる深夜24時まで。女性客が多かったが、筆者の滞在中には男性のソロ客も複数いた。東京都の条例に抵触しない時間に限り、子ども連れもOK。ひとりでも、誰かと一緒でも歓迎される雰囲気だ。
最初こそ「場違いなところに来てしまって、すみませんすみませんすみません!!」と思っていた筆者だったが、店を去る頃にはすっかり常連のような、くつろいだ気分になっていた。
夜にだけひっそりとオープンする隠れ家ケーキショップ。自分を甘やかすのにぴったりだ。