3.フライトジャケット

その名の通り、大空を駆けるパイロットのための飛行服。機能に特化し、無駄を排除したソリッドなデザインが特徴で、乗る機体の飛ぶ高度や仕様によって様々なバリエーションが存在した。また戦争の変化や戦闘機の進化によって、同じようにフライトジャケットもアップデートされ、現在ではレザー製フライトジャケットは存在していないが、かつてのレザー製フライトジャケットをデザインソースとしたファッションアイテムは数多く存在する。

着用時にカチッとした印象になる台襟付きはより軍服らしい威厳を持ったデザイン。台襟が無いモデルも存在し、好みが分かれるところ。

ベンチレーションのために装備されるアイレットはカラダを動かすことが多い戦闘機での使用を前提にしたデザイン。前述したスポーツジャケットにも装備されることが多い。

防寒性とフィット感を高めるためだけでなく、グローブを装着することが多いため、袖口はニットリブになる。

フライトジャケットの代表的なデザインはこの4つ。

1.A-1 タイプ

1927年にアメリカ陸軍航空隊の飛行服として採用されたモデル。ボタン留めのフロントと首元、袖口がリブニットになっているのが特徴になる。

2.A-2タイプ

アメリカ陸軍航空隊のサマーフライトジャケット。1930年代に生まれ、フロントに当時としては革新的なジッパーを採用したレザーフライトジャケットとして登場した。軍服らしくないデザインのため、カジュアルにファッションとしても楽しめる。

3.G-1 タイプ

アメリカ海軍の飛行服として開発された代表的な型。アウターシェルにゴートスキンを採用し、襟に付いたムートンボアがワイルドなムードを演出する。その機能性の高さから長い期間採用されていた名品。

4.B-3 タイプ

高高度を飛行する爆撃機のパイロットやクルーたちに支給されたフライトジャケット。シープシェアリングを贅沢に使用し、防寒性は折り紙付き。そのデザイン性の高さからカジュアルファッションのデザインとして今も多くのレザージャケットのデザインソースとなっている。

(出典/「Lightning 2024年12月号 Vol.368」)