今季のユトレヒトは10勝中、1点差の勝利が9回という勝負強さが際立ち、首位PSVと勝点5差の2位に付けている。11月25日、9位のNECはシュート本数(18本/10本)、ポゼッション率(62.5%/37.5%)の両方で圧倒しながら、ユトレヒトの堅い牙城を崩し切れず、1-2で惜敗した。
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この試合で日本代表ストライカー、小川航基は3本のシュートを撃ったものの、ことごとくブロックされてしまい不発に終わった。それでもMF佐野航大が「今日の航基くんは空中戦で全部勝っていたと思う」と語るほど、DFマイク・ファン・デン・ホールンとの競り合いで優位に立っていた。
ユトレヒト戦での自身の出来を、小川はこう振り返る。
「ロングボールや競り合いのところでは勝っていたと思う。それを味方に付けるというところは地味なように見えるけれど、すごく大事なポイントです。下を向く必要のない出来だったけど、満足できるような内容でもなかった。次、ビッグマッチが待っている。そこでしっかり自分の存在感を出したい」
ビッグマッチとは、12月1日に予定されているアヤックスとのホームゲームのこと。オランダに来て2季目のシーズンを迎える小川はビッグクラブ(アヤックス、フェイエノールト、PSV)相手の初ゴールを虎視眈々と狙っている。
もうひとつ、小川が狙っているものがある。それは「前半戦で11ゴールを決める」ということ。昨季の小川はオランダリーグで11ゴールを叩き込んだ。それと同じ数のゴールを年内で達成しようという心意気なのだ。
この「11ゴール」というスタッツは昨季、マグヌス・マットソンが開幕19試合で記録したゴール数に並ぶものだ。元U21デンマーク代表の攻撃的MFは瞬く間に冬の移籍市場でコペンハーゲンにステップアップし、チャンピオンズリーグ出場の夢を叶えた。つまり、小川の設定した「前半戦11ゴール」という目標には、「冬の移籍市場でステップアップする」という目標も隠されている。
――ずばり冬の移籍を狙ってますね?
「もちろん。オランダリーグというのはステップアップリーグだと思う。そのためにも得点数を伸ばしていきたい」
――昨季の冬の市場でマットソンがコペンハーゲンに移籍しましたよね?
「そうですね。彼は前期で11得点取った。僕もしっかり得点数を伸ばしたい」
――冬、加入したMFチャロン・シェリーも半年でアントワープに移籍しました。
「彼も活躍しているみたいですね」
半シーズンで与えるインパクトが大きければ、NECからステップアップできる。そのことを昨季、小川は「今年残り4試合で11ゴールを達成したい」と力を込める。
ここまで小川は5ゴール。あと6ゴールの上積みが必要だ。しかし、NECの公式戦3試合で5ゴールを固め取りしてから日本代表に合流し、そこでも2ゴールを記録するなど、最近の活躍は目覚ましいだけに、12月のゴールラッシュに期待したい。
11月の日本代表シリーズに関し、小川は「行く前から『本当に大きな遠征になる。自分にとってひとつの分岐点にもなりえる』と思ってました。大満足かというとそうでもないところもありますが、少なくとも得点という結果を残すことができました。ただ代表は代表、クラブはクラブ。一喜一憂せず、しっかりクラブで結果を出さないと、次の3月の代表に呼ばれないと思う」と語った。
キャップ数9で9ゴール。44分に1ゴールというハイペースでゴールを決めている。
「代表戦では4-0、5-0とかになったりすることもあり、そのなかで相手も諦めムードになってスペースができる――というのも正直言ってある。でも、そのなかでもゴールを決めて結果を出すことが大事なので、前向きな数字だと思います。『俺が点を取る』というイメージを監督、チームスタッフの皆さんにも持ってもらえれば『アイツを使えば点を取るんじゃないか』と思ってもらえる。そこで、自分の一番のストロングポイント(=ゴールをねじ込む)としてやれている」
だが、点差の離れた試合で途中からピッチに入ると、すでに「このまま試合をコントロールして終わらせようぜ」というムードがあったりするはず。そのなかでゴールを挙げるのは意外と大変なのでは?
「そうですね。暑さもあったりしますしね。前の選手たちには『点を取りに行きたい』という思いがあるけれど、後ろの選手たちは『4-0で勝ってるし、ちょっと落ち着きたい』という気持ちがあることも分かる。そこのバランスは難しいけれど、僕自身、空気を読めるタイプじゃないのでね(笑)。得点を取りに行った結果、こういう数字につながっていると思います」
まだ小川が「代表キャップ1」の選手に留まっていた昨季前半戦、「僕を代表に呼んでもらえればゴールを取る自信はある」と思いの丈を口にしていた。今年3月、北朝鮮戦でたった9分だけ出場したのが小川の2回目のキャップ。小川にとって6年ぶりの代表ゴールは6月の対ミャンマー戦。そこから半年弱の間で6ゴールを固め取りし、新エース候補に名乗り出た。これほどの有言実行はない。
「フォワードは点を取るか、取れないか、(で評価されるので)分かりやすい。『点を取ればいいでしょう』というところに醍醐味のあるポジションなんで、これからも点を取っていきます!」
かつてのビッグタレントは、遅咲きの苦労人として花開きつつある。27歳のストライカーは、これからキャリアの旬を迎える。
取材・文●中田 徹
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