FA宣言した阪神・大山悠輔が11月25日に大阪市内のホテルで開かれた球団納会を欠席。関西メディアは大騒ぎだ。

「これで年内の球団の公式行事は最後だっただけに、大山の残留の可能性はほぼゼロになったのでは。阪神は力が落ちた主力選手を放出する“伝統”がある。江夏豊、田淵幸一、岡田彰布、今岡誠や鳥谷敬などなど、トレードや戦力外通告で追い出すパターンが多いんです。しかし大山の場合は今年30歳をむかえ、本塁打が減り続けている成績でも4年総額16億円(金額は推定)を提示し、珍しく食い止めに必死。巨人がそれ以上の条件を出していることは間違いありませんね」(阪神担当記者)

 一方、巨人の阿部慎之助監督は大山獲得に向けて直接出馬する意向を示し、「本人が一番懸念しているのは阪神から巨人に行くことだけだと思う。今は時代が変わってきている。僕は大丈夫だと思っている」と自信満々だ。

「巨人ではFAで獲得した選手には基本的に“永久就職”を保証します。引退後もコーチや球団職員として残す条件を出して、もしコケた場合の将来に安心感を持たせる。これは大きいですよ」(夕刊紙記者)

 そもそも大山は茨城県下妻市の出身で、父親は地元でそば屋を経営している。

「大山本人、16年ドラフトで阪神から1位指名された瞬間から始まった関西マスコミの取材攻勢に実は食傷気味で、『関西は“肌”が合わない』とよくぼやいていたという。それを考えれば8年間、よく阪神の主軸として頑張ったとは思います。何より、親孝行のためにも関東の球団で活躍を見せたいという気持ちもあるのでしょう」(前出・阪神担当記者)

 ただ、仮に巨人へのFA移籍が決まれば、今度は関東マスコミの洗礼を食らうことは必至。そして、巨人の主軸という重圧がのしかかる。

「当然、読売系メディアを除けば巨人の取材攻勢も凄まじいですよ。今季のような本塁打14本、打率2割5分そこそこでは、まず叩かれる。かつて鳴り物入りでFA移籍してきた広澤克実、清原和博、江藤智など、他球団で4番打者だった選手たちにとっては、決して居心地のいい球団ではなかった。将来的に岡本和真がメジャーへ行った際の代わりとなれば、なおさらです」(前出・夕刊紙記者)

 それでも“関西脱出”を選択するのか、そして巨人を選ぶのか。大山にとって野球人生最大の選択となりそうだ。

小田龍司

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