毎年、三脚やクレーンの展示でお馴染みのDVCブースでは、カメラマンの大橋次郎氏開発の「QUICKRANE」と電動雲台やジンバルとカメラを遠隔制御する「Project92.com PTZ Remote」との組み合わせが注目を浴びていた。「Project92.com PTZ Remote」はSNSなどで話題の、ワンオペレーションで操作する現場でのカメラ操作に広く活用されているキットだ。しかし実機を見られる機会は少なく、Inter BEEの展示はまさに一期一会の出会いだった。
その中でも注目は、前後・左右、上下の加速度の変化を関知するモーションセンサリモコンの実機デモだ。これ1台で、Bescor社の電動リモート雲台「MP-101」やDJI社の電動ジンバル「RS 2」「RS 3 Pro」「RS 4」「RS 4 Pro」を乗せたカメラ4台を切り替えて操作が可能。「これはもしかして左手はスイッチャーで、右手はパン棒の1人で4台のカメラ配信が実現できるかもしれない」と思ってしまった。
最初にクレーンに取り付けられたカメラの操作を体験してみた。リモコンを載せた三脚のパン棒を操作すると、クレーンのカメラを振るようにリモート操作が可能になる。カメラは高い位置にあるのに、手元で操作しているような感覚はとても不思議だ。
しかもパン棒に付けた市販のソニーのリモコン「RM-1BP」での操作も可能。クレーンの先端に載っているのはDJI RS 4 Pro+ソニー「PXW-Z200」なのだが、一般的なズーム操作も可能になっていた。RM-1BPではズームスピードの最大速の切り替えも可能で、さらにゆっくり動かすこともできた。クレーン、PXW-Z200、リモコンの組み合わせの操作性は良好。撮影が楽しくなるような体験であった。
ちなみに有線LANを採用しているので、電波干渉に悩まれることもない。どんな混雑したイベントでも安定した通信を実現できる点も見逃せないポイントだろう。
リモコンのアサインボタンを変更することで、別のカメラに切り替えることが可能。デモでは「DJI RS 4」+GH6や電動雲台「MP-101」+キヤノンXA25に切り替えることが可能になっていた。GH6にはLANCには対応しないので、RSシリーズが対応しているカメラの制御やフォーカスモーターによる制御で操作が可能。デジやミラーレス系でも、ある程度対応できる点も特徴だ。
また、フルサイズミラーレスカメラを遠隔操作できたり、レンズの資産を活用可能。かつ、低予算で実現可能といった多数の魅力を持ったキットといえそうだ。