最近、『ウィザードリィ』は新作アプリ『ウィザードリィ・ダフネ』がリリースされ、ライトノベル『ブレイド&バスタード』もアニメ化が発表されるなど、新たな展開を迎えています。いまのウィザードリィを追いました。
日本における『ウィザードリィ』人気爆発のきっかけとなった、ファミコン版『ウィザードリィ』(アスキー)
【おおっと】懐かしい! これがファミコン雑誌で夢中になった『ウィザードリィ』マンガ&小説です(5枚)
『ウィザードリィ』新展開が続々
最近、『ウィザードリィ』が熱い展開を迎えています。新作アプリ『ウィザードリィ・ダフネ』がリリースされ、ウィザードリィ原作のライトノベル『ブレイド&バスタード』もアニメ化が発表されるなど、勢いは増すばかりです。いま、『ウィザードリィ』に何が起こっているのでしょうか?
『ウィザードリィ』は1981年にアメリカで発売された3Dダンジョン探索型RPGで、大人気となりその後シリーズ化されたタイトルです。いまは当たり前にRPG(ロールプレイングゲーム)と呼ばれるジャンルを確立した作品のひとつであり、後に誕生する「ドラゴンクエスト」シリーズや「ファイナルファンタジー」シリーズにも大きな影響を与えています。
日本では当初パソコン版(APPLEIIなど)がマニアから熱い支持を受けていましたが、1987年のファミコン版で人気が爆発。ベニー松山先生が執筆した小説『隣り合わせの灰と青春』はゲーム小説の草分け的存在となり、現在はコミックボーダーで『魔境斬刻録 隣り合わせの灰と青春(原作:ベニー松山/画:稲田晃司)』と、タイトルを改めてコミカライズも行われているほど長い人気を保っています。
新作アプリ『ウィザードリィ・ダフネ』(以下、ダフネ)は2024年10月にリリースされ、公式X(旧:Twitter)のフォロワー数が早くも10万を突破するなど、注目のタイトルとなっています。最近は多くの人がプレイできるようにと序盤の難易度が低いタイトルが一般的ですが、「ダフネ」は敵に一撃で倒されることもある上に蘇生も手間がかかるなど、『ウィザードリィ』らしさを存分に発揮しています。試行錯誤と悪戦苦闘はまさに同作の醍醐味です。新たな要素も続々と追加されていくと発表されているので、興味のある方はプレイしてみてはいかがでしょうか。
『ウィザードリィ』の世界観で展開する迷宮冒険譚『ブレイド&バスタード』(小説:蝸牛くも)のアニメ化と、世界10言語以上での展開が発表された(画像:ドリコム)
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『ウィザードリィ』の何が人を引き付けるのか?
それにしても、『ウィザードリィ』の何が人を引きつけるのでしょうか。
もちろん、かつてFC版などにドはまりして「むらまさ」や「しゅりけん」「せいなるよろい」「ささえのたて」を見つけるまで延々と迷宮を周回し続けた往年のプレイヤーたちの熱烈な支持もあるでしょう。しかし、ダークでハードな世界観、高い難易度が特徴のシリーズですので、決して万人向けではありません。
それでも『ウィザードリィ』を愛してやまない人は、おそらく「挑戦」が好きな人なのでしょう。高い難易度に挑み、高い目標を掲げ、困難な冒険を乗り越えるのが大好きな人、それが同作を愛好する方の共通点であると思えます。
『ウィザードリィ』を原作としたライトノベル『ブレイド&バスタード(著:蝸牛くも)』も、先日アニメ化が発表されました。蝸牛先生の代表作『ゴブリンスレイヤー』の外伝作品である『ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀<<ダイ・カタナ>>』は、『ウィザードリィ』をモチーフにした作品であり、先生自身もインタビューで同作の愛好者であると語っています。
『ウィザードリィ』のアニメ化は1991年に発売されたOVA版以来であり、快挙と言えるでしょう。果たして『ウィザードリィ』の世界観は、いまのアニメーション技術でどのように表現されるのか、実に興味深いところです。
旧作のリメイクや新作、さまざまなメディアミックスなど、『ウィザードリィ』の勢いはとどまるところを知りません。
しかし、気になる点がひとつあります。それは、かつて発売されていたマンガ版『ウィザードリィ』(作:石垣環)をいま読むのが難しいという点です。この勢いに乗って電子化などしていただけたら、喜ぶ方も多いのではないでしょうか。