画像はAIで生成したイメージ

北関東某所にある個人経営の総合病院。ここに地元の資産家の息子A(21歳・大学生)がバイク事故で運ばれ、特別室に入院することになった。

「ケガは足首の靭帯損傷でした。手術後大事をとって10日ほど入院することになりました」と話すのは、外科病棟のベテラン看護師・野沢久美子さん(仮名・46歳)。久美子さんによれば、このAはとんでもない問題患者だったという。

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「足のケガ以外は健康体なので退屈だったのかもしれませんが、病室にパソコンを持ち込んで1日中ゲームをしたり、友達を呼んで騒いだり、松葉杖で院内をうろついては若い女性患者さんをナンパしたりしていました。入院中の過ごし方については一応決まりがあるのですが、特別室は治外法権のようなもの。治療・療養に差し支えのない範囲でAさんが好き勝手に過ごす分には構わないのですが、周りに迷惑をかけることだけは見過ごせません」

時間や場所を問わないAの迷惑行為に病棟スタッフや入院患者から苦情が殺到したこともあり、病室と専用フロア以外の外出や見舞い客の人数、面会時間まで制約されたAは、その憂さを晴らすかのように女友達を病室に連れ込むようになったという。

「連れ込むというか、一応お見舞いということでやって来るんですけど、毎日違う女性がやって来ては1~2時間滞在して行くという感じでした。騒いだり暴れたりするわけではなかったですし、Aさんはイケメンでチャラい感じでしたので、きっと女友達がたくさんいるんだろうな、という程度の認識しかなかったですね」

スマホからは看護師の盗撮画像も

発覚のきっかけは特別室の掃除を担当していたスタッフからのタレコミだった。

「特別室のゴミを回収したところ、ティッシュペーパーや紙屑のようなものが詰め込んであったレジ袋に不燃物が混ざっていたため、開封して中を探ったら使用済みの避妊具がいくつも入っていたそうです。それで私がAさんを問い詰めたところ、女友達と病室で性行為をしていたことを認めました。日替わりでやって来ていたのはセフレで、中には出会い系アプリで知り合った見ず知らずの女性もいたとかでびっくりです」

病室に女性を呼んで性行為に興じるというのも論外だが、素性の分からない女性まで招き入れるとは危機管理の観点から考えても非常識極まりない。

「もし、その女性が患者さんに危害を加えたりしたら、どうするつもりだったのでしょうか?」

コトの重大さを鑑みた病院側はAさんの「余罪」を調べるため、看護師長と事務長がAさんの病室に立ち入り検査を敢行。その結果、避妊具の他に禁止されているたばこ(加熱式)や酒類、いかがわしい本などが見つかったという。

「この立ち入り検査に関してはAさんのご両親の許可もとっていたのですが、そのご両親の申し出でAさんのスマホまでチェックしたところ、看護師に対して行われていた不適切な盗撮画像も見つかりました」

まさかスマホまで見られるとは思っていなかったのだろう。

Aさんには不適切な画像を削除するヒマもなかったようだ。

「Aさんのご両親と病院側で話し合って警察沙汰にはしないことになりましたが、どこまでバカなんだと思いました。立派な両親のもとで裕福に育ち、そこそこの大学に通っていても人間としての基本は育たないのですね」

Aさんと同世代の息子を持つ久美子さんは心の底から呆れたという。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)
1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。