ドラゴンクエストの中でも評価の高いスクウェア・エニックスのゲーム「ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…」のリメイクで、ドット絵と3DCGを融合させた「HD-2D版」が発売されたのが11月14日。すると早くも“改造版”が複数出回り、ネット上で物議を醸している。
「改造版はMODというものです。英語のModificationから来ており、意味は変更や修正。メーカー外の第三者がデータプログラムを改造したもので、いわゆる違法コピーの海賊版とは異なります。家庭用ゲーム機でも今ではパソコンでダウンロードできるようになり、ドラクエでもSteamというプラットフォームを通じてダウンロードしてパソコンでもプレイできる。MODにはメーカー側が追加データを加えた公式MODというものがありますが、今回はそれとは別に、有志が手を加えた非公式MODもあり、Steam版のドラクエを改造したものが出回っているというわけです」(ネットライター)
そこで実際に有志版のMODを探してみると、ゲーム内での船や地上の移動が速くなったものや、ゲーム内プレイヤーの経験値・お金・アイテムドロップが増えたものがあり、それが一覧のようになって紹介されているページまで存在する。
それらのアップロードされた日付を見れば、驚くことに「速度上昇版」は11月20日、「経験値など増加版」は22日と、発売から10日と経っていない。そのためネットに上では、「製作者への冒涜」といった指摘が出ているのだが、一方ではタイトルをもじって「そして神ゲーへ」という声や、「公式よりいい仕事してる」といったものまで見られる。
ただ、MODの感覚については日本と国外では相当温度差がある。
「例えば欧米のゲーム会社には、評判になったMODをベースに新たなゲームをリリースしたり、ユーザーがMODについて書き込めるフォーラムを用意するところもある。またMOD製作者として世間や会社に認められてゲーム会社に入社し、その後は開発者として活躍している人もけっこう多い。ただ一方で、悪意のあるものや、もともとのゲームの世界を破壊してしまうものもあるのは事実。加えて結局は『公式』ではないのでメーカーのサポートは当然得られないことから、この世界では楽しむのも自己責任で、という認識が共有されています」(同)
今後は「Ⅰ」と「Ⅱ」のリメイクも予定されているが、ゲームが開発者とユーザー両者のものだとすれば、こういったMODもその後のゲーム開発の役に立つのかもしれない。
(猫間滋)