バレー日本代表の石川祐希を擁するペルージャがミラノに逆転勝利で全勝キープ! 注目された大塚達宣との“ネットを挟んでの攻防”は実現せず

 現地時間11月24日、バレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガで2024-2025シーズン前半第9節が行なわれ、男子日本代表の石川祐希が所属するシル スーザ ヴィム・ペルージャが、同じく日本代表の大塚達宣を今季獲得したアリアンツ・ミラノとアウェーで対戦。セットカウント3-1(19-25、25-20、30-28、25-15)の逆転勝利でリーグ前半戦全勝へあと2勝とした。

 欧州最高位のCEVチャンピオンズリーグで現在2戦2勝中の両者は、海外有名アーティストのコンサートなどに使用される国内最大規模(収容人数1万2700~1万5800人)の『ユニポル・フォーラム』で対戦した。ペルージャを支える最強サポーター軍団“シルマニアチ”の片道6時間に及ぶバス移動に同行してアリーナ前に降り立つと、時を同じくして大きなクラブマスコットを車体に描いたバスが到着。石川ら選手とスタッフは、すぐさま始まった太鼓と応援歌の大合唱に迎えられて会場入りした。

 国内と欧州でここまで12戦を終えてなお、全勝街道をひた走るペルージャ。アウェー4連戦の2試合目となる戦いの先発に、イタリア代表の司令塔シモーネ・ジャンネッリ、ミドルブロッカー(MB)が同代表ロベルト・ルッソと昨季までミラノに在籍したアルゼンチン代表アグスティン・ロセル、オポジットの(OP)チュニジア代表ワシム・ベンタラとリベロ(L)の元イタリア代表マッシモ・コラチ。アウトサイドヒッター(OH)は、直近のCLアウェー戦に引き続いてウクライナ代表オレフ・プロツニスキーとポーランド代表カミル・セメニウクを起用し、石川はベンチスタートで古巣との公式戦初対戦を見守った。
  ミラノは、白星と黒星を交互に繰り返したシーズン序盤戦を経て、ここにきてリーグ戦4連勝。昨季プレーオフ3位に導いてチームを去った石川の置き土産とも言える初出場のCLでも、ペルージャと同様に連勝中だ。先発は、欧州・世界レベルのアンダーカテゴリーでイタリアに3冠をもたらしたセッターのパオロ・ポッロ、MBは同胞エドアルド・カネスキとフランス王者から移籍したジョーダン・シュニッツァー(カナダ)の新加入コンビ、OPがベルギー代表フェレ・レゲルス、OHに元ブルガリア代表マテイ・カジースキとパリ五輪金メダルを携えて入団したフランス代表ヤシヌ・ルアティを起用。海外初挑戦のOH大塚は石川と同じくベンチスタートとなった。

 第1セットは拮抗した展開のまま後半へ突入すると、ペルージャがコンビミスや精彩を欠く守備で一歩後退。ジャンネッリのエースで食らいつくも、得点ランク2位につけるOPレゲルスの強打に続き、ベテランOHカジースキが技ありのフェイントでミラノに連続得点を許す。さらに誤打の直後にエースを浴びるなど終盤の4失点が追い打ちとなり、試合を先行された。

 第2セットはサーブの精度を上げたペルージャが、相手のレセプション成功率(A+Bパス)を28%に抑え込み、被ブロック6本を物ともせずに終始優勢をキープ。ミラノは3点を負う終盤に大塚を後衛で起用するが流れは変わらず、ペルージャが試合を振り出しへ戻した。 迎えた第3セットは、息を呑む激闘が待ち受けていた。ペルージャは僅差のリードで前半を終えるが、後半の入りにレセプションの乱れが失点に繋がるなどして劣勢へ傾く。セット開始から起用したキューバ代表OPハイメ・エレーラの打球がネットを越えず15-17とされてタイムアウト。そのエレーラに替えて石川が前衛レフトに投入されるも、攻撃機会は訪れずにコートを降りる。ビハインドが3点まで広がり危機に直面したペルージャだったが、突破口を開いたのは武器のサーブだった。ミラノが握ったセットポイントを3度にわたり阻止してエレーラのエースで形勢逆転。相手がサーブをネットに賭けた直後にセメニュクのエースで白星に王手をかけた。

 これで勢いに乗ったペルージャは、4セット目もサーブでスタートダッシュ。エレーラの連続エースに続き、セメニュクもネットインでエースを重ねるなど、序盤にリードを6点へ広げる。ミラノは選手交代を駆使して巻き返しを試みるも、主砲レゲルスにミスが出始めるなどリズムを取り戻せず、終盤にプロトニツキーの連続エースでとどめを刺したペルージャが、リーグ戦9連勝で公式戦無敗を守った。

 石川の在籍時、幾度も下剋上の源となったミラノのブロック&守備システムは、スコア以上にペルージャを追い込んだ。その構築手腕に定評のあるロベルト・ピアッツァ監督に試合を振り返ってもらうと、「ペルージャはこのような試合展開に慣れている。対してミラノは、全力を出し切っての戦いになる。握ったセットポイントを取りきるため、今のチームはメンタル面を強化する必要があるだろう。大事な場面で我々が犯したサーブミスがペルージャにチャンスを与えてしまった」とコメントした。出場時間が限られた大塚については、「次戦は出場するだろう」と明かしてくれた。
  日本代表のOH対決に注目が集まった試合は、観客8851人を動員するも、ネットを挟んでの2人の攻防は残念ながら実現しなかった。試合後、両選手にその要因を尋ねると、石川は“チーム戦略”と述べ、大塚は“故障の再発防止”と回答。来年2月中旬にペルージャのホームで予定されているシーズン後半での対戦を楽しみにしたい。

 リーグ戦前半は残すところ2試合。ペルージャは次戦の第10節でミント バレー・モンツァとのアウェー戦に臨む(日本時間12月2日午前0時開始予定)。一方で同節をすでに前倒しで終えているミラノは、今週のリーグ戦はお休み。1週間後のCL4回戦第3戦が次戦となる。

文●佳子S.バディアーリ

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