故郷・東北の山へ恩返し 今日もわたしは山に登る|バックカントリーガイド 佐藤真理子-Spur akita mountain guide-

東北にこだわっていきたい

1月の秋田駒ケ岳 岩手山を見ながら初日の出ライド Photo:Yuya Murakami

 リクエストがあれば、東北以外のエリアもガイドするのだろうか。たとえば、3年間暮らした北信・上越エリアとか?

「東北限定でお願いしています。北は岩木山、南は鳥海山、月山まで。ほかの山域にもいかないと人脈や知見を広められないし、飽きちゃう自分もいるんですけど、エリアは東北にこだわっていきたいと思います。東北のガイドさんはホームマウンテンを持って東北から出ない方が多い。そんな諸先輩方を見習って」

それだけ雪が継続的に安定して降って、毎日フレッシュな雪を滑れて、山の懐が深いということなのだろう。

2024年2月偶然にもELEVENATEのジミーさん・サラさんに遭遇

日本の原風景が色濃く残る東北の雪山や文化に魅了される外国人が、年々増えていると聞く。去年、スウェーデンから「エクストレムスキー」のスタッフが日本に来たとき、偶然、東北の山中で遭遇。

「ブナのツリーランがめちゃめちゃ良かったと話していました。そして、東北の鄙びた温泉に入ることでパーフェクトだったと。美しい森に包まれて、あの雪を毎日滑れるなんて、幸せ者だと。自分がめっちゃいいと思っていることに、共感してくれて、すごく嬉しかったです」

もしかしたら日本人より外国人の方が、東北の冬の素晴らしさに気づくのかもしれない。アルプスのような派手さはないが、雪と共に生きてきた奥ゆかしい日本人が暮らす原生の雪山。その土地の風俗や文化、食べ物、人柄を育んできたのは、雪そのものであり、その雪に触れることでその一端を感じたい。そんなスキーヤーを東北は待っている。

「もうちょっと自分がお客さんを集められるようになったら、お世話になったガイド仲間や、よくしてくれる女性のガイドさんたちとコラボツアーをやりたいですね。お互いのお客さんをお互いのガイドエリアに連れていくような。早い段階で、そういうことができるガイドになりたいなって思っています。

自分が病んでいたとき、生きる希望を見出させてくれた東北の山に恩返しがしたい。また、過去の私のように落ち込んでいる人がいたら東北の山で元気を分けてあげたい。だから、ここ東北で私は頑張る」

鳥海山の雲海
鳥海山のサンセット Photo:Yuya Murakami

Profile】

佐藤真理子(さとう・まりこ)

1983年、秋田県由利本荘市(旧矢島町)生まれ。「Spur(シュプール)akita mountain guide」を主宰する登山ガイド。幼少期から競技スキーをはじめ、基礎スキーを経て(全日本スキー技術選手権出場経験あり)、雪山の世界へ。国際自然環境アウトドア専門学校の山岳プロ学科を卒業後、地元秋田へ戻りガイド業を始める。得意とするBCエリアは、田沢湖、秋田八幡平、森吉山、鳥海山。

保有資格:日本山岳ガイド協会認定(JMGA)
・JMGA登山ガイドステージⅡ
・JMGAスキーガイド ステージⅠ
・JAN雪崩業務従事者Level1


Spur akita mountain guide
公式サイト:https://spur-akita.com
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