HD-2D版『ドラクエ3』は、名作を現代に蘇らせるリメイク作です。そのため、現在の事情に合わせて一部デザインが変化し、それを不満に感じる意見も飛び交いました。発売前に不評を受けたあのデザインは、ゲーム画面上でどのように表現されたのでしょうか。



HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』「戦士 ルックスB」のデザイン画(画像右)。デザイン上では肌着部分が目立っている。(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX

【画像】えっ、美尻すごっ! こちらがHD-2D版『ドラクエ3』「女戦士」のビジュアルの正面・後ろ姿です(8枚)

2Dドット絵で見たら印象違った?

 シリーズでも屈指の名作を、2Dのドット絵を3D演出で表現したHD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が、2024年11月14日に発売されました。近年のシリーズ作品で『ドラクエ』に惹かれたユーザーはもちろんのこと、オリジナルにあたるファミコン版を遊んでいた往年のファンまで、多くの人々がHD-2D版に関心を寄せていました。

 しかし残念ながら、関心の全てがポジティブな視線ではありません。そのひとつが、発売前に公開された「戦士 ルックスB」(過去作における女戦士)のデザイン画です。全体的にはオリジナル版を踏襲していましたが、いわゆる「ビキニアーマー」の下に、新たに肌着のような着衣が加えられており、違和感のあるデザインにファンから不満や憤りの声が上がっていました。

「女戦士」のデザインは、なぜ不評だったのか?

 肌着のおかげで露出部分が減り、その点に不満を抱く人がいたほか、「肌着の色とビキニアーマーの組み合わせが合っておらず、デザインとして出来が悪い」と指摘する声もあり、肌着の追加による不評の理由はひとつだけではありません。

 また、故・鳥山明さんによる女戦士のデザインが完成されていたため、今回の修正が無粋だと感じる人も多くいます。

 そうした不満が残ったまま、HD-2D版『ドラクエ3』が発売を迎えました。果たして、実際のゲーム画面でも「女戦士」のグラフィックは違和感や不満を感じるものだったのでしょうか。

あれ、肌着が見えない……? 意外と悪くないHD-2D版『ドラクエ3』の女戦士

 HD-2D版『ドラクエ3』では、キャラクターたちの表示は基本的に小さめで、よほど目を凝らさない限り、細かい部位の判別はしにくいというのが実情です。

 フィールド上で女戦士の全身を正面から見た場合、特徴的なビキニアーマーはくっきりと分かります。しかし、胸部を覆う肌着部分はほとんど見分けがつかず、視覚的な印象に影響を及ぼしている可能性はかなり低いと思われます。

 また下半身の肌着部分も、「ビキニアーマーの前垂れ部分を支えるベルト」のようにも見えるため、こちらもさしたる違和感は覚えません。少なくとも、デザイン画であれほど目立っていた肌着の存在感は、ゲーム上の正面画に限ってみれば、ほとんど影響を感じないほどです。



HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』キービジュアル (C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX

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後ろ姿のグラフィックには、やや難点も

 女戦士を横向きにした場合も、その側面に「肌着感」はほとんどありません。これは、腕や盾に隠れている影響も大きいのでしょうが、違和感を覚えないのはありがたい話です。

 ただし女戦士の後ろ姿については、残念ながら「違和感なし」とはいえません。ビキニアーマーの背部が目立っている関係で上半身はほとんど問題ないものの、下半身は肌着部分の主張が激しく、遠目から見ても「ショートパンツ状の肌着を履いている」のが分かります。

 色味は地味なのでそれほど目立ってはいませんが、「気になる人は気になるレベル」という表現が妥当でしょう。

しかし「戦闘中の後ろ姿」の違和感はほぼゼロ!

「後ろ姿の肌着部分が気になるなら、戦闘時は致命的では?」という不安を抱く人もいるかと思いますが、実は女戦士の後ろ姿については少々事情が異なります。コマンド選択時、プレイヤー側に見せる彼女たちの後姿には、肌着がほとんど映っていないのです。

 もちろん、戦闘中だけ肌着を脱いでいるわけではありません。フィールドでの立ち姿と異なり、武器を構えた状態で立っており、足も開いています。そのため肌着の裾部分が持ち上がり、剣の鞘やビキニアーマー部分に覆われ、実質的にほぼ見えない状態になったのだと思われます。

 ちなみに、画面に接するほど近づけば、肌着の裾部分をわずかに確認することが可能です。

* * *

 デザイン上では不満の多かった「女戦士」でしたが、一見装備と馴染んでいない色味のチョイスも含め、ゲーム画面上で違和感なく楽しめるよう、あらかじめ計算した上でのデザインだったのかもしれません。

 もちろん、フィールド上の後姿など、気になる部分も残っていますが、キャラクターの表現に慎重さが求められる現状を踏まえると、かなり健闘しているようにも思えます。

 事情を汲んで一方的に我慢する必要はありませんが、デザイン画で気になってもゲーム上では気にならない、と感じる人も少なくないと思います。最初の印象だけで決めつけず、HD-2D版『ドラクエ3』を実際に触ってから判断するのもお勧めです。