AIについて詳しい清水亮さんが主催した『女子限定 初心者AIハッカソン』の取材に行ってきた。清水亮さんを知らない人に清水亮さんを説明するのは難しい。清水さんは、人工知能学者、思想家、発明家、実業家。筆者が最初に知り合ったのは彼が作ったタブレット型端末『enchantMOON』の取材だった(懐かしい)。その後も清水さんはたくさんの会社を起業して、いろんな仕事をしている。

で、清水さんは、2022年秋にChatGPTが公開されるずっと以前から深層学習(ディープラーニング)に興味津々で、はるか前から深層学習の話とかを何度もされていていた。今、写真を探してみると、2016年の8月に清水さんからディープラーニングの話を聞いていた。8年も前から、清水さんは深層学習に興味津々だったのだ。

8年前に深層学習について熱く語る清水さん。早い。早すぎて、誰もついてきていなかった。筆者も、当時、現在のAIの基本的な仕組みである深層学習の話を聞いていたおかげで、今AIがブームになって、基礎的な理解がしやすくて感謝している。

清水亮さんが主催する『初心者AIハッカソン』

というわけで、清水さんが『初心者AIハッカソン』をやるというから、「それはぜひ取材に行きたい」とお伝えした。すると、その企画はいつの間にか、『女子限定 初心者AIハッカソン』という企画になっていた。

「なんで、女子限定にしたんですか?」と聞くと、「だって、オレ、オッサンに教えるのイヤだもん」との回答が返ってきた。それだけ聞くと今どきジェンダー的に問題がある発言に聞こえる。しかし、それは清水さん流の照れ隠しで、実は女性から女性限定のイベントの方が安心して参加できるという話があったとか、女性がプログラムを組めると新しい可能性が開けるということらしい。決して、我々凡人が考えるような不謹慎な理由ではないはずだ。

注:その後聞いたところによると、男性グループが多くなるハッカソンでは、女性は参加しにくいからそういうチャンスが必要だと思っていたとのこと。下は清水さんがその件について、書いた記事。

プログラミング経験ゼロの女子9人を集めて1時間でプログラミングを教え、そのままハッカソンしてみた(清水さんのnote)

https://note.com/shi3zblog/n/nf67fbfd57313

「だいたい、大学とかのプログラミングの授業は長すぎるんだよ。オレが教えたら1時間もしたら、プログラミングできるようになるから」と清水さん。いや、いくらなんでもそれはハッタリが過ぎるのでは?

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30分でプログラムが書けるようになる『魔法』

ともあれ、清水さんのSNSに反応して集まった女性は9人。清水さんの知人で、かつ平日開催ということもあって、会社社長、企業広報、ニュースキャスター、声優、魔女(?)と、そうそうたるメンバーではある。みなさん、プログラミングの経験はあまりないそう。


ちなみに、会場は『秋葉原プログラミング教室』( https://www.akiba-programming-school.com/ )。ここの設立にも清水さんは携わっている。

しかし、この人たちが本当に1時間もしたら、Pythonでプログラミングしていたのには驚いた。そして4時間のハッカソンの間に、3人ずつのグループに分かれて、それぞれ3本のサービスを(ほぼ)完成させるまでになっていたのだ。『プログラミング教室』ならともかく、プログラム経験のない女性を集めて『ハッカソン』になっていたのだから、本当にびっくりだ。

その方法を筆者の理解できる範囲でご説明しよう。

まず、メッセンジャーでリンクが送られてきて、それを開いてColab(Google Colaboratory)にある、清水さんが書いた『AIビギナーハッカソン用ノートブック』に(各自のGoogleアカウントで)入る。

ColabというのはGoogleの提供する無料のクラウドベース開発環境で、主にPythonのプログラミングに使われる。この環境で、清水さんの書いた説明と、サンプルプログラムが全部読める。サンプルプログラムの横の実行ボタンを押すと実行されるし、一部を改編して動作させることもできる。

Colab(Google Colaboratory)

https://colab.research.google.com/

まず最初に初期化のプログラムがあり、それを実行すると、Swallow-llama3.1-70Bをさくらインターネットから貸与されているGPUサーバーで起動。このAIの部分は本来GhatGPTでもいいらしいのだが、同じ場所から複数のアクセスがあるとChatGPTが遮断する仕組みになってるらしく、やむなくこういう仕組みにしているのだそうだ。

基本的なAIの使い方として、Pythonのプログラム内でのプロンプトの入力の仕方が説明され、次にPythonが基本中の基本から説明される。なにしろ、Colabに書いてるから、実行ボタンを押すだけで使える。自分で一部を書き換えるのも簡単。まったく、昔、BASICマガジンに掲載されてるプログラムをポチポチ入力して、どこかが間違えていて動かなかった……という経験はなんだったんだ! と思わざるを得ないスピード感だ。

そうやって、サンプルプログラムを使いながら、変数、リスト、制御構造、ユーザーからの入力を受け付ける、ランダム(乱数)を使う、関数を作る、関数を使って、インチキな占いを作る、AIの使い方……というところまで1時間。いや、前半にヨタ話(もちろん、緊張をほぐすための清水さん流の配慮だ)があったから、実際の時間は30分ぐらいだったように思う。