ChatGPTも使って、あっという間にPythonでバリバリ開発!
「じゃあ、3人ずつ3つのグループに分かれて、「食」というテーマでサービスを作って! 時間は今から40分!」と清水さん。
えええ!? まだ30分あまりプログラミングの基礎を話しただけじゃん! できるわけないじゃん! ……と私は思ったのだが、女性たちはビビらずにすぐにグループになって話を始めた。案外と、物怖じせずに新しいことに取り組める。清水さんが『女性限定』としたのは、女性のこういう特質を見極めていたのかもしれない。これが我々男性だと「そんなことはできるはずはない」と身構えて前進しなかったかもしれない。
プログラミングを始める前のネタ出しの段階から、ChatGPTが活躍する。「食をテーマにした簡単なアプリを10個考えて!」と指示して出てくるアイデアを、3人で選んだり、ひねったり。企画出しのスピードも早い。
これまで習ったサンプルプログラムをベースにコツコツと書きはじめたグループもあるが、中には「こういうアプリを作って!」とChatGPTに丸投げするグループも。出来上がったものが違えば、「もうちょっとこうして」と指示出しして改善。「機能拡張を付けたい」「API使わなくていいヤツで」と次々と指示。動作しなくてエラーメッセージが出てきたら、それもChatGPTにぶっ込む。
……もはや、私が知ってる、プログラム開発、ハッカソンとはまったく違ったものになっている。しかし、これがAI時代のプログラム開発、ハッカソンなのだ。
となると、開発能力というより、アイデア、マーケティング、チームビルディング、フットワークの勝負になるではないか! これが現代の開発なのか!(もちろん、現場はそれだけはないと思いますが)
というわけで、本当に2時間前にはプログラミングの『プ』の字も知らなかった女性が、3チームとも立派にアプリを開発していた。あるチームは、「体調や好みなどを入力したら、ランチに何食べたらいいかのアイデアを出してくれて、さらにネットから店を探してきてくれるアプリ」を開発。
別のチームは「食べたい料理の雰囲気を入力すると、現在は存在しないけど、過去に存在していたか、未来に存在するかもしれないレシピ」を生成するアプリ。
また別のチームは「冷蔵庫にある材料と、料理レベルを入力したら、レシピを提供してくれるアプリ」を開発していた。
たった2時間でこんなアプリが作れるようになるなんて信じられなかった。
ChatGPTに聞くなんてズルいと思う人もいるかもしれないが、ズルであろうがなんだろうが開発できているし、冒頭にひと通りのPythonの説明を聞いているので、だいたいの意味は分かる。分からない部分があればChatGPTに聞けばいい。クルマのエンジンのバルブのシム調整を自分できなくても、クルマの運転ができるのと同じように、細かいプログラミングに習熟してなくても、アプリは開発できる時代なのだ。
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ウェブアプリだって、作れちゃう!
次は、Gradioというサービスを説明。
Gradio
https://www.gradio.app/
Gradioは先に学習したPythonのプログラムと組み合わせて、インタラクティブなウェブアプリを作れるオープンソースライブラリ。無料の状態だと生成されたリンクは72時間でリンク切れするが、ともあれ、簡単にウェブサービスが開発できるということだ。これまたビックリ。
開発したウェブアプリのURLを発行すれば、他のパソコンやスマホから72時間以内であれば、ウェブアプリが使えるそうだ。すごい世の中だ!
もう、1回目のセッションで「私たちは、できる!」と思った参加者のみなさんはノリノリである。清水さんの指示でグループを組み換えて2回戦。こんどのテーマは『愛』。『愛』って……と思ったが、清水さんによると、ハッカソンのテーマは、深い情熱を持てるものでないとダメなのだそうだ。なるほど。
2回目で30分ほどで作られたウェブサービスは以下の通り。
まずは、『秋葉原の母』。相談に対して、含蓄に富むアドバイスをくれるおばあちゃんのような占い師。「りょうちゃん」という名前で相談したら「あらあら、りょうちゃん、寂しいのね。素敵な女性と出会いたいんだね。まずね、りょうちゃんは自分が何を求めているのか、ちゃんと考えてみなよ……」と、ちゃんとアドバイスしてくれるのにはビックリした。
それから男性に求める条件を入れたら、その男性と出会える場所を教えてくれて、仲良くなる方法まで提案してくれるアプリ。『眼鏡をかけている、AIエンジニア』という条件を入れたら『東京大学』『東京国際展示場』『WeWork』『丸善』『東京工業大学(現:東京科学大学)』などがサジェストされた。そりゃそうだろという気もする。仲良くなる方法のところはまだ実装が終わっておらず動作しなかった。どんな結果が出てくるのか、ちょっと見たかった。
それから『思い出の場所から、愛が芽生える、愛を思い出せるデートコースを生成するアプリ』。位置を入れると、ちゃんと最寄りのデートコースを作ってくれるのが秀逸だった。こちらも、提案される内容はちょっとベタだったが、そのあたりは今後のチューニング次第というところなのだろう。