たんぱく質の吸収には野菜のビタミン・ミネラルが不可欠
食べ物に含まれる栄養素のうち、炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質をエネルギー産生栄養素といいます。エネルギー産生栄養素のうち、近年とくに注目を集めているのがたんぱく質です。プロテインドリンクをはじめ、たんぱく質を強化した食品も増えており、たんぱく質ブームといっても過言ではありません。
たんぱく質はエネルギー源として利用されるだけでなく、筋肉や臓器、皮膚、毛髪などのからだを構成する成分になります。また、ホルモンや酵素、抗体など、身体機能を調整する成分の材料にもなる重要な栄養素です。
ではこのたんぱく質は、1日にどれくらい摂取すればいいのでしょうか。
年齢、性別、妊娠中あるいは授乳中かどうかで必要なたんぱく質の量は異なりますが、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1日あたりの推奨量は男性15~64歳は65g、65歳以上は60g、女性15~17歳は55g、18歳以上は50gとなっています。
また、1日の食事量全体に対する目標量は、総エネルギー摂取量に対して1~49歳は13~20%、50~64歳は14~20%、65歳以上で15~20%となっています。仮に1日の総エネルギー摂取量の目安が2000kcalの場合、65~100g(13~20%)となります。1食あたり25~30g程度は摂るようにするといいでしょう。
たんぱく質が不足すると、筋力だけでなく活力や身体機能も低下するうえ、肌がたるむ、髪がパサパサになる、爪が折れやすくなるなど、美容面でもさまざまな弊害があります。
また、前項で取り上げた赤血球はたんぱく質がないとつくることができないため、鉄欠乏性貧血の原因にもなります。ですから、肉類、魚介類、牛乳・乳製品、卵類、大豆・大豆製品など、良質なたんぱく質を含む食品をしっかりとり、推奨量や目標量を摂取するよう心がけることが大切です。
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ビタミンB12の不足には要注意
ただし、がんばってたんぱく質だけをとっても意味がありません。
たんぱく質の消化吸収には、ビタミンB6、B12、葉酸、亜鉛などがかかわっています。ビタミンもミネラルもほとんどは体内でつくり出すことができないため、食品から摂取する必要があります。つまり、いくらたくさんたんぱく質をとったり、筋トレにはげんだりしても、ビタミンやミネラルが不足していれば消化吸収の効率が悪くなり、せっかくの努力がムダになってしまうのです。
なお、たんぱく質には動物性たんぱく質と植物性たんぱく質があります。植物性たんぱく質はおもに大豆や大豆製品からとれますが、大豆・大豆製品にはビタミンB12が含まれていません。野菜や果物にもビタミンB12は含まれていません。また、植物性たんぱく質は動物性たんぱく質に比べて利用効率が悪いとも言われています。
たんぱく質をおもに植物性たんぱく質から摂取している人や、動物性たんぱく質を避けている人は、ビタミンB12の不足に気をつけましょう。また、高齢になると胃酸の働きが悪くなり、ビタミンB12の吸収効率が悪くなることがあります。ビタミンB12が不足すると悪性貧血の原因にもなるため注意が必要です。