アレイシ・エスパルガロは2024年シーズンを最後に、MotoGPの現役を引退した。これまでのキャリアを振り返ったエスパルガロは、努力で才能の差を覆してきたと語った。
2012年からMotoGPクラスに参戦してきたエスパルガロ。彼はスズキのファクトリーチームを経て、2017年にアプリリアへ移籍。以降、エースライダーとしてチーム、アプリリアのMotoGPプロジェクトと共に成長してきた。
移籍当初はアプリリアの戦闘力も相まってかなり困難な状況にあったが、2021年についに表彰台を獲得し、さらに2022年にはキャリア初優勝も達成した。エスパルガロは計3勝、ポールポジション7回、表彰台11回を記録。ランキングでは2022年の4位がベストという成績だった。
MotoGPでの戦いを終えたエスパルガロは、自らのキャリアを振り返るとシリーズのトップライダー達と同じ程の才能はなかったかもしれないが、懸命な努力と周囲にポジティブな空気を作り上げることで、MotoGPにおける成功を達成できたと語った。
「多くの人が使っている言葉に、『努力は才能に勝る』というモノがある。そして僕はそれが本当に真実なんだと確信している」
エスパルガロはそう語る。
「僕は自分のキャリアにおいて、才能という面では他の多くのライダー達よりも劣っているというふうに感じてきた。でも懸命に取り組んで全てを活用し、周囲にいいチームを作り上げて賢く行動することで、やりたいことはできるんだ」
「僕は、決して諦めなかったライダーとして記憶されたいね」
なおエスパルガロは引退レースとなったソリダリティGPのスプリントレース終了後、2005年にグランプリデビューを果たしたときのマシン(ホンダRS125)を走らせており、文字通り彼のキャリアの出発点へ戻る感動的なシーンだった。
エスパルガロは引退戦を振り返り、こう語った。
「色々な瞬間があった。僕の最初の(125ccの)バイクで最後に走った瞬間もそうだ。最高だった。それに日曜日にガレージで妻からスペシャルヘルメットを渡されたときも特別だった」
「(レース前は)本当に集中していた。こういう大変な時に、スイッチを切り替えることができて誇らしい」
「グリッドでは泣いたけど、シグナルが変わるときにはレースに集中できていた。それがとても誇らしいんだ。でも、チェッカーフラッグを受けたあとは涙が流れ始めてしまって、何も見えなかったよ」
「ホルヘ(マルティン)とマシンを停めたんだけど、彼は何度も『やった! やったよ! これ(タイトル)は僕らのものだ』と言ってくれた」
「カタルニアで、チャンピオンになった僕の親友といっしょにファンの皆にさようならをできて本当に良かった。アプリリアでの最後のレースは10点満点だ」
「僕は本当に、本当に幸運な、幸運すぎるほどの人間だったよ」