【不倫依存~婚外恋愛を謳歌する男女】 夫とのレスから女性に恋焦がれるようになった弥生さん(33歳主婦/子供ナシ)。お相手はカルチャースクールでK-POPダンスを教える美和子先生(31歳/独身)だ。 最...

一つ屋根の下には夫がいるのに



一日一日を大切に過ごしたい(写真:iStock)

 順番にシャワーを浴びた後、弥生さんの部屋で2人きりの時間が始まった。

「予感はしていましたが、すぐに美和子先生に抱きしめられました。ほろ酔いのままに倒れ込んで…私は声を出さないように必死に歯を食いしばりました。

 別な部屋とはいえ、一つ屋根の下には夫がいる。でも、拒むほどに困惑が興奮へと転化していきました。甘美さと背徳が振り子のように揺れ動いて…それは明け方近くまで続きました。

 以来、美和子先生は頻繁に泊まりに来るようになったんです」

 弥生さんは続ける。

心配は尽きないけれど

「夫に対して背徳感と緊張が入り混じった興奮は、言葉で表現できないほど私を恍惚に導いてくれました。美和子先生と愛し合っている瞬間は至福の時…ただ、別な感情もあるんです。

『妻を女として扱わなくなった夫への恨み』とも言えますし、美和子先生だって『元カノを男に奪われた悔しさ』は決して消えていないはず。

 幸せですが、心配は尽きません。いつか夫にバレるかもしれないし、美和子先生に捨てられるかもしれません。逆に、私のほうから彼女に別れを告げる可能性もゼロじゃない…でもネガティブ思考はダメですね。

 今は見えない未来など考えず、一日一日を大切に過ごしたいと思います。ダンスももっと上手になりたいですし」

 思わぬきっかけから同性と婚外恋愛になった弥生さん。

「見えない未来など考えず、その日を懸命に生きる」という言葉が強く心に残った。

(了)

(蒼井凜花/作家・コラムニスト)