ミック・シューマッハー、メルセデスF1のリザーブは今季限り。来季はWEC専念へ「自分が乗らないF1マシンを眺めるのは厳しいもの」

 ミック・シューマッハーが、今季限りでメルセデスF1のリザーブドライバーの座から退くことが発表された。

 シューマッハーは2021年、2022年の2シーズン、ハースのドライバーとしてF1に参戦したが、レギュラードライバーの座を失ってからはメルセデスのリザーブを務めてきた。元々フェラーリ育成出身のシューマッハーだが、父ミハエルがかつて所属していたメルセデスと関係を持つことになったのだ。

 シューマッハーは一時ザウバーでニコ・ヒュルケンベルグとコンビを組む候補のひとりと言われていたが、結局そのシートにはF2を戦うガブリエル・ボルトレトが選ばれた。来季F1に参戦する現実的な選択肢が残されていないこともあり、シューマッハーは別の機会を追い求めることになった。

 2025年は「100%レースに集中する」と述べたシューマッハー。彼は来季もWEC(世界耐久選手権)のハイパーカークラスでアルピーヌをドライブすることが発表されており、こちらに専念することになりそうだ。

「ここ2年、様々な見識を与えてくれたトト(ウルフ/メルセデスチーム代表)、そしてメルセデスF1チーム全体に感謝している」とシューマッハーは言う。

「僕はエンジニアリングサイドについてこれまで以上に知ることができたので、彼らが僕をより経験豊富なレーシングドライバーにしてくれたのは確かだ。ただそういったレースカーを、自分自身がコクピットに乗らない状態で眺めるのは厳しいものだ」

「100%レースに集中できる状態に戻りたい。モータースポーツで競技するという部分に専念したいんだ。最終的にドライバーとしてレースがしたいし、レースは僕に素晴らしい感覚を与えてくれる」

 一方でチーム代表のウルフはシューマッハーの尽力に感謝し、2025年はレースプログラムに専念したいという彼の説明を受け入れた。

「ミックがリザーブドライバーとして見せてくれたハードワーク、勤勉さ、そして決意はここ2年間のチームにとって重要なものだった」

 ウルフはそう語る。

「シミュレータでの仕事、様々なマシンでのテスト、コースサイドでの仕事など、彼にこれ以上のことは求められないほどだった。彼は初日からチームに溶け込み、ブラックリートブリックスワース(のファクトリー)の皆から好かれる存在となった」

「しかしながら、ミックは第一にレーシングドライバーだ。彼のF1時代の走りと今季のWECでのパフォーマンスから、彼が非常にレベルの高いレーシングドライバーであり、世界最高の舞台で戦うに相応しい存在であることが分かる」

「彼が次の挑戦に臨むにあたり、私からもその貢献に対して感謝を伝えたい。そして我々は皆、彼の今後の活躍を祈っている」

 なお、2025年からはバルテリ・ボッタスがシューマッハーの後任として同職に就くことになるようだ。来季はWECに専念してF1の舞台からは離れることになるシューマッハーだが、2026年に向けてはまたドライバー市場に浮上するかもしれない。同年はキャデラックが新規参戦することになっており、彼らが求める経験豊富なドライバーのひとりとして、名前が挙がる可能性もあるだろう。