タイガーのシューズを作ったデザイナー!足元から支えるキーパーソンに突撃取材

長時間歩くゴルファーにとってシューズの「合う、合わない」はとても大事。とくに足にケガを負ったタイガー・ウッズにとっては死活問題なので、いま履いているシューズにJJタナベが突撃取材!

ゴルフもデザインも「進化を続ける終わりなき旅」


チャーリー・ハダック氏。写真①(上)、写真②(下)

今年2月の「ジェネシス招待」で、タイガー・ウッズは自身の新ブランド「SUNDAYRED(サンデーレッド)※以下・SDR」を発表。シャツやパンツをはじめとするアパレルのほか、グローブやタオル、アクセサリー類など充実したフルラインナップで登場させた。練習ラウンドをするタイガーは多くの関係者に囲まれているが、そのなかにひとりだけ、タイガーと同じく全身を「SDR」で身を包んだ人物を発見(写真① ②)。気になったので取材してみると、タイガーを”足元”から支えるキーパーソンだった。

この人物の名は、チャーリー・ハダック氏。タイガーが履くシューズを設計した「SDR」のシューズデザイナーだ。話かけてみると、私の足元を指さし「今、キミが履いているプーマのシューズも私がデザインしたんだ」といわれ驚いた。どんな経歴の人物なのかも気になり話を進めていくと、ハダック氏はシンシナティー大学で工業デザインを学び、オレゴン州を拠点に展開するキーン(KEEN)というシューズブランドでインターンとしてデザインチームに参加したことがキャリアの出発点。その後、2018年にプーマでシューズ設計を任されると、2021年にはフットジョイに転職。ここでタイガーとの接点が生まれる。

2021年2月にタイガーは自動車事故で大ケガを負い、選手生命が絶望視されたが、同年12月のPNC選手権で復帰を果たした。当時はまだナイキと契約期間中だったが、シューズはフットジョイを履いていたことにも注目が集まった。理由は公表されていないが、復帰途上の足の状態に合うシューズを試したところ、フットジョイが選ばれたというのが大方の見方だ。そのころフットジョイにいたのがハダック氏だったのだ。

2023年の暮れに、タイガーがナイキを離れるウワサが業界を駆け巡り、年明けの1月には契約終了が公式に発表された。そして迎えた2月に「SDR」ブランドの発表に至るのだが、これに先んじてハドック氏は「SDR」に転職。実質、チームタイガーからヘッドハントされた形だった。プロゴルファーにとって、シューズはクラブと並んでプレーに大きく影響を与えるギアで、好みも千差万別。しかも、傷を負ったタイガーの足にピッタリと合うシューズは、そう簡単には見つからない。事故後にフットジョイを選んだタイガーが、そのシューズデザイナーを自身のチームに招聘したのは自然の流れともいえる。

「タイガーに合うシューズをデザインすることは複雑な作業の積み重ね。それをシンプルに答えるとするならば、タイガーの意見をしっかり聞くことが第一歩であり、最後の一歩でもある。タイガーが100%満足するまで仕事は終わりませんし、タイガー自身も進歩を止めないので、私の仕事も終わりはありません。ゴルフもデザインも、進化を続ける終わりなき旅、という点で同じかもしれません」

 現在、タイガーと共に仕事をしていることは、それそのものが”夢であり目標”と話す。次にタイガーが出場する試合では足元に注目し、そのデザイナーがハダック氏であることを思い出してほしい。

フォトグラファー 田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

取材・写真=田辺安啓 
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE