〈総被害額は約271億円〉「綺麗な人だったので…」コンサル会社社長(70)も引っかかった「SNS型ロマンス詐欺」の一部始終

最終的には必ずお金を要求される

SNS型ロマンス詐欺は、SNSやマッチングアプリを通じて出会った相手の恋愛感情を利用し、信頼関係を築いたうえで、『あなたとの将来のために』、『売上を増やすことを手伝ってほしい』『あなたも儲かるから』といった口実で、投資や副業に誘導して金銭を騙し取る詐欺だ。

鈴木さんの2番目のケースのように、近年は騙す側も工夫を凝らしており、詐欺を見破ることが困難になっている。詐欺師のプロフィール写真は、芸能人のような華やかなものではなく、身近で親しみやすい雰囲気の写真を選ぶ傾向があるという。

プロフィール写真などSNSを頻繁に更新することで、存在にリアリティをもたせる。接触してくる際のメッセージも、「この写真素敵ですね」「これどこか教えてくれますか?」といった当たりさわりないメッセージが来ることが多い。

このように巧妙化した詐欺に騙されないためには、どのような対策が必要だろうか。

「SNS型ロマンス詐欺では、最終的には必ずお金を要求されるので、たとえ親密な関係になった相手でも、突然お金の話を持ち出してきた場合は、詐欺の可能性が高いと考えるべきです。

SNSロマンス詐欺での振込先は、聞いたこともない個人や会社名義の銀行口座への振り込みを要求されます。上述の鈴木さんのケースでは表面上はローソンを騙っていましたが、おそらく振込先はローソンなどではなかったはず。

そもそも、投資は本来財務局に登録された証券会社などを通じて行なわれるべきです。無登録で投資を行なっている業者は違法ですので、調べても出てこないような名義の口座への送金は絶対に避けてください」(松田氏)

詐欺師にとって、出会いを求めている人は格好の標的だ。最近ではSNSだけでなくマッチングアプリが詐欺の入口になっているケースもあるという。

「マッチングアプリのメッセージは、運営会社が監視体制を敷いてチェックしていることがありますが、そこでも詐欺師は“LINEなどで個別にやり取りがしたい”と持ちかけてきます。SNSやマッチングアプリで知り合った相手と、LINEやTelegramなどの個別チャットツールへの移行を提案された場合は警戒していただきたいです」(松田氏)

年々巧妙化し、見破るのが一層困難になっている詐欺。だが、一度も会ったことがない人に金銭を要求してくるような人は、例え詐欺師でなくても信用してはいけない。

寂しいからといって自身の判断が鈍らないよう、注意してほしい。

取材・文/福永太郎