ラーメン好きには欠かせない日本最大級のラーメン情報サイト「ラーメンデータベース」。同サイトの兵庫西宮市エリアのランキングで第2位のラーメン店が、食べに来た客による“とある行為”で警察沙汰となり、店主が困惑している。「野菜マシマシ」を頼んだ客が近隣で嘔吐したことにより、指導を受けるハメになってしまったのだ。店主に直撃した。
「この半年で4、5回くらい…」
警察から指導を受けることになってしまったのは、他のラーメンとは異なる独特な味わいとルールで、多くの愛好家たちに愛される「ラーメン二郎」系の店「ラーメン荘 これが好きだから」(兵庫県西宮市)だ。
11時の開店から10分もしないうちに客が並び、前出のサイトのユーザーからは「ここが僕の原点にして頂点」「めっちゃ美味い」「美味すぎる!」と大絶賛されている。今年で13周年目を迎える人気の名店だ。
俗に「二郎系」と呼ばれる店では、ラーメンのトッピングの量を多めにしたい場合は「マシ」と頼む。少ないほうから順に「ヌキ」→「スクナメ」→「チョイマシ」→「マシ」→「マシマシ」など、注文する際の「コール」があるのだ。
「二郎系」に行ったことのある者なら言い慣れたコールであるが、今回の嘔吐騒動は「二郎系」初心者、あるいは己の胃袋と相談せずに「マシマシ」コールをしてしまった客によって起きた。
Xへの投稿からもその困惑ぶりがうかがえるこの店主に話を聞いた。
――嘔吐されたお客さんは、いつも来る方なのでしょうか?
店主(以下、同) いや、おそらく初めての方なのかなー。今まであまり見たことがない20代くらいの方で、たしか数名のお友達と一緒に来てたと思います。
――そのお客さんはどこで嘔吐されたのですか?
うちの店の前だったらいいんですけど、うちの店から数軒隣のお店の前で吐いたみたいで。それに気づいた従業員がすぐに掃除をしていたんです。するとその店主さんが出てきて「また吐いてるんか」という感じで声をかけられ、おそらくその後、その店主さんが警察を呼んだのだと思います。
――「また吐いてる」ということは、これまでも何度かあったんですか?
はい。この半年くらいで4、5回くらい、近隣でお客さんが吐いた物を掃除しています。
――警察からはなんと指導されたのですか? 吐くまで食べさせちゃダメだとか。
どうしてそういう言い方するんですか。僕らはお客さんに無理に食べさせていません。量が多くて、食べ切るのがしんどそうにしているのを見たら、「食べなくてもいいよ」「残していいよ」と言っています。
だけど「大丈夫です!」「がんばります!」とか言って、無理してまで食べているのはお客さんのほうです。
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しんどそうに食べていたら「残してもいいよ」と言ってきた
――すみません、無理に食べさせたわけではないのはわかっています。でも、二郎系には「オーダーしたものを残してはいけない」という独自ルールがありますよね。
昔はそういうルールが厳しくあったと思いますし、店からも食べ切れないお客さんに対し厳しく言う、みたいな風潮はあったと思います。
でもウチではそんなことは言いません。食べ切れなければ残せばいい。それに「マシ」とか「マシマシ」とか言いたいだけだから言ってしまう、という気持ちもわかる。でも実際に食べ始めたら無理だとなって、しんどそうに食べている姿を見たら「残してもいいよ」と言ってきました。
――なるほど。では警察からはなんと指導されたのでしょうか。
警察の方は嘔吐物については特に何も言っていませんでした。店の前に停めているお客さんの自転車などのことについて指導を受けました。「ここに停めたらあかんよ」とか。
――でも「無理しないでいいよ」と言っているのに、お客さんはなぜ無理にでも食べようとするのでしょうね?
それは僕らもわかりません。だいたい、吐くお客さんは数名のグループで来てる方です。「友達がみんなが食べてるから俺も食べ切る」みたいに、イキってしまうのでしょうか。ひとりで来るお客さんで吐いた方はいないと思います。
――お店をやられている身としてはご近所さんとのお付き合いもありますし、困りますよね。
そうですね。その警察を呼んだ店主さんからは、保健所を通して役所に連絡するとも言われていました。僕らはただ、お客さんからのオーダーを受けてそのまま出しているだけなのに。
――今後、どのように対策していくのですか?
とりあえず本日から当面の間は、野菜は「マシ」までにしようと思います。僕は、「たくさん食べられる=カッコイイ」とは思いません。
自分が美味しく食べられる量を選び、きれいに食べ切ってごちそうさまができる人が、スマートでカッコイイと思います。
どうか吐くまで食べ切ろうとしないでほしいです。
※
今年で13年目を迎えるこのお店。トッピングには「クリームチーズ」「チェダーチーズ」「オニオンフライ」「ガリマヨ」など、よりジャンク感を演出できる品がずらりと並ぶ。
西宮近辺でパンチのあるラーメン店として愛され、連日のように「現在63名待ちです」「40名待ちです」と行列ができている。
行かれる方はぜひとも自分の胃袋と相談したうえで注文してほしい。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班