「折田氏が斎藤候補と仲が良さそうに話している場面を見た」
こうして運営された選挙事務所は、トラブルや判断に迷ったときの対処でしばしば混乱したが、SNS空間では対立候補より優位に立った斎藤氏に追い風が吹いた。
その陣営のSNS戦略の中心にいたとみられるのが「種まき」フェーズなどを提案した折田氏だ。
斎藤氏は公選法の買収にあたるSNS広報に対する報酬の支払いを否定し、折田氏が主体的に行なったのではないと主張する。しかし、折田氏はXやインスタグラムなどの斎藤陣営の4つの公式応援アカウントを「全神経を研ぎ澄ましながら管理・監修」したと豪語しており、実際にその痕跡がある。
さらに折田氏は街頭演説の場で斎藤氏とともに選挙カーのうえに上がり、動画のリアルタイム配信も担ったとみられている。
「青いパーカーのようなものを着た女性が選挙カーの上に時々いることは気づいていました。部下のような男性も上がって、斎藤さん含めて3人になることもありましたね。
陣営スタッフのパーカーは白色なのに彼女は青を着て、運動員の腕章もないのに上がっていました。それで当時は彼女はマスコミの人だと思っていました。『斎藤さんが信じて(選挙カーに)上がることを許しているマスコミ関係者もいるんだ』くらいの感じでしたね。
彼女は車から降りると斎藤候補と仲が良さそうに話している場面も見ましたよ。でも何者なのか、ヒラのスタッフはだれも知らなかったんじゃないですかね」(Cさん)
9月29日に斎藤氏がmerchuで折田氏からプレゼンを受けた際に同行した参謀の男性は神戸市の実業家で、愛媛の中高同窓生グループとはまったく別の立場で斎藤氏を支えた。
このためリアルの選挙活動を行なった人々が関与しないところでSNS広報が展開された可能性があるが、折田氏の役割を担う今回の公選法違反容疑に絡んで、Cさんは鋭い分析をする。
「斎藤さんが抱える大きな問題の一つに、近い人から聞いた話は100%信用し、自分で調べようとしないところがあると思うんですね。
前期の知事職を失職する前も『牛タン倶楽部』って呼ばれた側近グループと一体になって動いたっていう批判があったじゃないですか。選挙の時も、近い人の声だけが耳に届いていた、そんな脇の甘さはあったと思いますね。
で、その選挙事務所は、前回のように自民党や維新が入って固めたのではない、素人が集まったところでしょ。PR会社(merchu)の、言ってみたら素人集団の声を斎藤さんが丸呑みしたんじゃないですかね。
結局、脇の甘いところに脇の甘いPR会社がくっついてこんな風になったんじゃないかと思いますね」(Cさん)
兵庫県政の大混乱はまだまだ続く……。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班