アルピーヌのエステバン・オコンは、チームがコンストラクターズランキング6位を獲得するために全力を尽くすと語る。しかしそれが成功すると、来季加入することが決まっているハースから数十億円を奪ってしまうこととなるが、オコンはハースの小松礼雄代表も「分かってくれるはず」だと語る。
2024年のF1は残り2戦。コンストラクターズチャンピオン争いも接戦となっているが、それ以上の激戦となっているのは、同ランキング6位争いだ。
当初ランキング6位は、ハースとRBの2チームによって争われていた。しかしサンパウロGPでアルピーヌがダブル表彰台を獲得すると、一気にこの争いの中に加わってきた。結局ラスベガスGPを終えた段階では、6番手ハース50ポイント、7番手アルピーヌ49ポイント、そして8番手RB46ポイントと、4ポイント差の中に3チームがひしめく大混戦……どんな結末となるのか、全く予想できない。
アルピーヌのオコンは、チームがランキング6位を獲得するために、残り2戦全力を尽くすと語った。
「ランキング6位は、間違いなく現実的な目標だと思う。厳しい目標になるとは思うけど、やらなきゃいけないことだ」
そうオコンは言う。
「最後まで、間違いなく大接戦になる。コンストラクターズランキングで6位を獲得できるよう、全力を尽くすよ。現時点ではいくつかのチームが、僕たちよりも速い。でも状況を把握して、チャンスが訪れたらそれを掴み取る必要がある」
「(ブラジルで)チャンスがやってきたから、シーズンが再開したような感じだった。それは忘れてはいけない。それ以前は、あまり戦えていなかったから」
「でも別のチームにチャンスが訪れれば、全てが変わってしまう可能性がある」
そう意気込むオコンだが、彼の意気込みの通りコンストラクターズランキング6位を獲得できてしまうと、来季の自分自身の首を絞めることにも繋がりかねない。オコンは今季限りでアルピーヌを離脱し、来季からハースに加入することが決まっているからだ。
ランキングがひとつ違うと、チームが得られる分配金の額が少なくとも1000万ドル(約15億円!)も違ってくると言われる。つまりオコンは、自身が加入する予定のチームの収入を、奪ってしまうことになるかもしれないのだ。
そのことについて尋ねられたオコンは、次のように語った。
「少し奇妙な状況だね……でもこれは、長年一緒に働いてきた人たちへの敬意でもあるし、2020年にこのチームに加入した時と同じくらいのハングリー精神を持っている。その長い年月の最後に、僕ができる最低限のことだと思うし、ベストを尽くすつもりだ」
「どんなマシンをドライブしていても、常にベストを尽くしてレースに臨むつもりだ。来年、僕はハースで走る予定だけど……アヤオ(小松礼雄代表)もチームのみんなも、僕が全力で戦うことについて理解してくれると確信している」