2024年12月1日、ついにドラマ『連続ドラマW ゴールデンカムイ―北海道刺青囚人争奪編―』の最終話が放送されます。大好評となった、実写『ゴールデンカムイ』の背景にはどんな思いがあったのか、WOWOWの植田春菜プロデューサーにお話を聞きました。



最終第9話の杉元とアシリパ (C)野田サトル/集英社 (C)2024 WOWOW

【画像】え…っ? 刀の構え方も、肌の色も、目力も、「眉毛」も完璧!こちらがドラマ『ゴールデンカムイ』最終話でついに登場「鯉登少尉(中川大志)」です

放送開始の10月、今年度最多の加入者

 日露戦争後、明治後期の北海道を舞台に隠されたアイヌの莫大な金塊をめぐる戦いを描いた『ゴールデンカムイ』(著:野田サトル)は、2024年1月公開の実写映画の続編となるドラマ『連続ドラマW ゴールデンカムイ―北海道刺青囚人争奪編―』が放送中です。

 この実写版『ゴールデンカムイ』の製作を手掛けるのが、衛星放送事業者のWOWOWです。WOWOWの加入者数は近年およそ250万人で推移していますが、各種配信サービスが広く普及し、映像作品の視聴方法もますます多様化しつつあるなかで、2023年度(23年4月~24年3月)は約9万人の減少、2024年度に入っても加入者数は漸減が続き、苦戦を強いられていました。

 ところが、大好評を集めた実写映画に続くドラマ『ゴールデンカムイ』がWOWOWで放送開始した10月の新規加入は増加。他コンテンツとともに、加入者増の大きな後押しとなりました。

『ゴールデンカムイ』大ヒットの裏に、何が起こっているのでしょうか。12月1日のドラマ最終第9話の放送前に、実写『ゴールデンカムイ』シリーズを手掛けたWOWOWのプロデューサー、植田春菜さんに、ドラマへの反響、映像づくりのこだわり、今後の展望について聞きました。

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――発表された10月のWOWOW新規加入者が9万人と、今年度最大の増となりました。やはり、ドラマ『ゴールデンカムイ』放送の効果は大きいのでしょうか。

植田春菜さん(以下、敬称略) はい、他の人気コンテンツの影響も大きいので、単純に本作だけの実績ではないのですが、やはり熱量の高いファンの方がいち早く観たいと思ってくださったのか、放送前の9月から増えて、10、11月にかけて『ゴールデンカムイ』きっかけでのご加入もどんどん増えてきています。

――SNSでは放送のたびに大きな盛り上がりを見せていますが、WOWOWオリジナルコンテンツ群と比べても『ゴールデンカムイ』は、好調といえる状況でしょうか?

植田 放送での視聴、WOWOWオンデマンドでの視聴どちらも伸びています。口コミで観ている方も徐々に増えているようで、そこは原作のさすがの強さを感じています。

――近年、各配信サービスがオリジナルコンテンツを充実させているなかで、大人気マンガ『ゴールデンカムイ』をWOWOWが出資して実写化するという企画自体も、注目に値すると思います。企画実現の決め手となったのは何だったのでしょうか?

植田 外資の配信サービス主体のコンテンツの波が押し寄せてきていたなかで、制作プロダクションのCREDEUSの松橋プロデューサーと、大きな企画をやろうという話になったときに、もともと松橋さんが温めていた『ゴールデンカムイ』の実写シリーズをやるという企画が立ち上がりました。

 松橋さんが『キングダム』を成功させていたので、『ゴールデンカムイ』版元の集英社さんとの信頼関係も出来上がっていて、スムーズに話が決まりました。

――まず映画を公開してから、WOWOWのドラマ放送に続くという形は、どのように決まったのでしょうか。

植田 北海道の各地で囚人と出会う原作の特性上、2時間の映画にして何本も作っていく形式が本当に最適なのかという話がありました。実写化するにあたって、連続ドラマだけ、映画だけという形で作るならほかにもいろいろ媒体もあるのですが、WOWOWはどちらのノウハウもあるということで、今の形の企画が決まっていきました。

――撮影も、最初から映画とドラマの同時進行だったのでしょうか。

植田 最初から一緒に作るという構想で取り組んでいたので、まとめて撮っているのですが、基本的には公開が手前の映画の方から順に撮影していくという形にしていました。



WOWOWの植田春菜プロデューサー(マグミクス編集部撮影)

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「続編」はどうなる?

――『ゴールデンカムイ』は、リアルタイムでの放送・配信と、WOWOWオンデマンドでの見逃し配信の両方で楽しむことができます。現在はどちらの利用が多いのでしょうか。

植田 オンデマンドで観てくださっている方ももちろん多いのですが、リアルタイムで視聴されている方も思ったよりも多いですね。WOWOWの放送番組は録画もできるので、リアタイで観つつドラマを永久保存したいという方もいっぱいいらっしゃると思います。

 あと、放送が日曜日の夜10時という時間帯なのもあり、翌日が月曜日という週の始まりで、あまり外を出歩くよりも家で『ゴールデンカムイ』を観ようという方が、リアルタイムで発信力高くX(旧Twitter)でいろんなことをつぶやいてくれるので、毎週のようにトレンド入りできていると感じています。

――番組の公式Xでは、放送回ごとの名シーンを振り返るショート動画や、視聴者が見たいシーンを投票するアンケート、各キャストの裏話なども、大きな盛り上がりを見せていますね。今回の実写『ゴールデンカムイ』の企画は、まだWOWOWで視聴していない人びとからも大きな関心を集めたと思います。

植田 はい、『ゴールデンカムイ』実写本編だけではなく、インタビュー動画やメイキング映像、特集番組など、たくさんの関連コンテンツもとても視聴されています。本編を観た後に、多くの方が関連番組も続けて観てくださっているようです。

 キャストやスタッフたち作り手の思い、本気度を伝えられる制作体制だからこそ、裏側の部分まで丁寧に送り届けて、このように反響をいただけているのかと思います。

 ここまで宣伝や特集込みで、全体的に手厚くいろんなコンテンツを届けることはWOWOWでもこれほどの規模ではなかったことです。全社一丸となって、一つひとつ丁寧に作らせてもらえています。

 また、制作チームだけでなく宣伝チームも熱量を注いでいて、毎週本編のショート動画がバズっているのも彼らのおかげです。予算も人員も限られているなかで、お預かりした原作を皆さんが楽しめるように120%やり切ろうと、できることをコツコツやっていますね。

――『ゴールデンカムイ』はそもそも熱量の高いファンが多い作品なので、WOWOWのみなさんの熱量も伝わったのではないでしょうか。

植田 たしかに、集英社さんからも『ゴールデンカムイ』ファンの方々の熱量のことは教えていただきました。その熱心な原作ファンの方々に、まずはしっかり実写版『ゴールデンカムイ』を受け入れていただかない限りは、そこから原作を知らない層にまで届いてヒットすることはないと思ったので、原作ファンにまずはしっかり楽しんでいただくことを意識しましたね。

 その一方で、原作未読の方にも分かりやすいように、歴史冒険活劇として楽しんでもらえることも意識しました。

――毎週そういった盛り上がりを見せているなかで、やはり『ゴールデンカムイ』ファンが今一番気になっているのは、ここからの続編はいつになるのか、それは映画になるのか、ドラマになるのか……? という点だと思います。

植田 今言えることとして、まずは最終話を楽しみにしていただきたいです。中川大志さん演じる鯉登の登場、杉元のバックグラウンドの物語が語られるなど見どころもたくさんありますので、最終話(12月1日(日)22時~ WOWOWにて放送予定)はぜひリアルタイムで観ていただけると盛り上がると思います。