バーテンダーの悩める実態!
そんな高騰のあおりを直撃しているのが、ウイスキーを提供する飲食店である。特にバーではビンテージウイスキーを求める客も多く、苦戦を強いられている。
都内・神楽坂にあるバーの店長は「人気の『山崎12年』は、酒販店より定価の15000円で手に入れることができるのですが、本数は限られています。それ以外のビンテージウイスキーはめったに手に入らない状態です」と頭を悩ませている。ちなみに定価で仕入れても、ワンショット3600円程度の提供になるそうだ。
その一方で、酒販店からビンテージウイスキーを定価で仕入れることができないバーも少なくない。
新宿で国産ウイスキーに力を入れているバーの店長は『山崎12年』をネットで定価の倍近い値段で仕入れている。「お客さんには、高いことを伝え、納得してもらった上で提供しています。今、ビンテージを置いている店は少ないと思います。結局、安定してビンテージウイスキーを供給できるメーカーは少ないですから」と語る。
また、せっかく貴重なビンテージウイスキーを高値で仕入れても、それを好む客がいなければ、店は損を被ってしまう。そのため、あえてビンテージにこだわらない店もあった。
新宿ゴールデン街のバーのマスターは「ジャパニーズウイスキーを求めてやってくる外国人観光客には比較的安めの『サントリーオールド』『富士モルト』『富士グレーン』などをすすめています」とビンテージの品薄を他の商品で補っているという。
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愛飲家はどうしているのか?
お客さん側にはどんな影響がおよんでいるのか?
国内の蒸留所巡りを趣味とし、夜な夜なバーに通う40代の女性は「本当は『山崎』や『白州』のビンテージを飲みたいのですが高いので、シングルモルト(ひとつの蒸留所で作られたモルトウイスキー)だとスコッチウイスキーの『ザ・グレンリベット』を飲むようになりました。1杯1500円くらいです。
せめてもという思いで、自宅用に小さなボトルの『山崎』(180㎜㍑)の2本セットを8000円で購入しました。半年前だったら半分くらいの値段だったみたいで、ちょっと悔しい。もったいなくてまだ開けていませんけど、いつか自分へのご褒美として味わいたいと思います(笑)」と、懐事情に合わせて自分なりの楽しみ方を見つけている。