“3人組トーク”の伝統を作り出した
長きにわたる人生劇場というのももちろん当番組の魅力の一つだが、フジテレビの御家芸ともいえる「3人組がトークする」というフォーマットを確立したというのもこの番組の功績といえるのではないだろうか。
もちろんそれまでも『やっぱり猫が好き』などドラマにおける3人会話劇はあったが、いわゆるトーク番組としては『はやく起きた朝は…』がフジテレビにおける3人トークの象徴的存在と言ってもいいだろう。
「はや朝」の直後にオンエアされる『ボクらの時代』も基本的に3人のトーク番組だし、深夜番組で長く続いている『久保みねヒャダこじらせナイト』もそうだ。
「はや朝」の30年には及ばないものの、『ボクらの時代』は17年続いているし、「久保みねヒャダ」も不定期ながら11年続いている。
やはり3人組トークはやはりフジにとっては伝統あるフォーマットなのである。
そもそも磯野貴理子は『笑っていいとも!』のアシスタントでもあった3人組、チャイルズのセンターだったし、松居直美は『欽ドン!良い子悪い子普通の子』が生んだ3人組「よせなべトリオ(良いO L、悪いOL、普通のOL)」の一員だった。何かと3人組には縁があったのだ。
ちなみに「はや朝」の着席配置におけるセンターが貴理子なのは、チャイルズ時代の立ち位置をベースにしているからなのだそう。
思い返してみると「はや朝」のトークにおいてパンチラインを生み出すのは基本的にいつも貴理子だ。やはり彼女は根っからのセンター気質なのかもしれない。
最後に、これから3人が60代に突入し、視聴者も高齢化していくにあたり懸念材料になりそうなことが一つある。
それは、朝6時30分が60代以上にとって決して「はやく起きた朝」ではないということだ。
他局のご高齢の方に向けた時代劇再放送は、朝の4時からやっている。
「はやく起きた朝」を名乗るなら、午前4時くらい、下手したら3時台くらいにする必要があるのではないか。
うーん。果たしてそれは「朝」なのだろうか。そこを朝と言っているのは片岡鶴太郎くらいなのではないか。
いや時間帯はいつでもいい。3人が70代になっても、80代になっても、いつまでも変わらずに他愛のないトークをし続けてくれればそれで十分。
これからも人生を共に歩む視聴者として3人を見続けていこうと思う。
文/前川ヤスタカ サムネイル/©フジテレビ