「小さい頃に見ていた選手」今季限りで湘南を退団する山田直輝へ、後輩MFの感謝の想い「フェアな関係性を築いてくれた」

 11月29日、湘南ベルマーレはMF山田直輝の契約満了を発表した。

 山田は2015年に浦和レッズから湘南に期限付きで加入し、17年まで3年間プレー。18年に浦和へ復帰したが、19年夏に再び湘南へレンタル。20年から完全移籍に移行し、計9シーズン、平塚の地で献身的に戦ってきた。

 湘南の象徴として長年、ファン・サポーターや選手・スタッフから愛されてきた山田の退団を多くの人たちが惜しんでいる。21年の湘南加入以降、同じ中盤のポジションを争ってきた平岡大陽もその内のひとりだ。

 平岡は幼少期と湘南加入時を振り返り、山田への想いを明かした。

「僕が初めて日本代表の試合を見に行ったのが、09年に長居(陸上競技場)で行なわれたキリンカップのチリ戦。直輝君の代表デビュー戦なんです。本田圭佑さんにアシストしたゲームです。(現・湘南監督の山口)智さんもいましたよ(笑)。当時、僕は小学1年生で、ハーフタイムに漢字ドリルをしながら観ていたのを覚えています。

 そこから時間が経って、湘南に加入が決まった。入る前は正直、チームのことはあまり詳しくなくて、直輝君くらいしか知らなかったんです。初めて練習参加した時に“おぉ、山田直輝がおる”と思った(笑)。小さい頃に見ていた選手とやれる、という感動が一番あった選手ですね」
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 山田との切磋琢磨のお陰もあり、現在は湘南に欠かせない存在となっている平岡。自身の成長にも密接に関わった先輩に感謝の言葉を贈る。

「同じポジションを争う時間が長かったけど、僕に対してまったく嫌な雰囲気を出さなかった。10個くらい上の年齢だけど、フェアな関係性を築いてくれたし、色んなアドバイスをしてもらって、感謝しかない。素晴らしい人間性とサッカーの実力を持っている方ですし、今季でチームを離れてしまうのは本当に寂しいです」

 山田のクラブへの貢献はピッチ上での働きだけではない。平岡だけでなく、数々の選手に自身の経験を伝え、成長を促してきた。また、10番のプレーや言葉に後押しされた選手がピッチで躍動すれば、その背中を見てさらに若い選手に熱が入る。山田は、そんな好循環を生み出したと言えるだろう。

 山田がクラブを去った後も、誰よりも熱い“サッカー小僧”の魂は次代に受け継がれていくはずだ。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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