F1カタールGPのスプリント予選で下位に沈んだこともあり、スプリントではセットアップを変更してピットレーンスタートを選択したセルジオ・ペレス(レッドブル)。途中ピットインしてフロントウイングを交換するなど、彼にとってのスプリントはさながら“テスト”の様相を呈し、トップから1分以上遅れた最下位でのフィニッシュとなった。
そんなペレスのレースの中でも、一際不可解なシーンが注目を集めた。それがスタートの瞬間だ。ピットレーン出口にはペレス、そしてその後ろには同じくピットレーンスタートとなっていたフランコ・コラピント(ウイリアムズ)が並んでいた。
そしてスタートが切られて集団が1コーナーを通過すると、2台が待つピットレーンの信号も青に変わった。しかしペレスは数秒ほど経っても発進せず。その後ようやく加速を始めたが、その横をコラピントが縫うようにして通過し、前に出て行った。
これについてペレスは、自分たちが順位を争う“レース”をしていなかったことを認めつつ、できるだけ他車の影響を受けないクリーンエアで走るために、少しでも集団とのギャップを開けたかったのだと説明した。
「基本的には、大きなギャップを作りたかったんだ」
「僕たちがピットレーンスタートを選んだ理由は、ここからポジションを挽回してポイント獲得を狙うためではなかった。トラフィックができるだけクリアなところを確保するために、前とのギャップを大きく取りたかったんだ」
ただペレスがスタートしないことは、後ろで待つコラピントにとっては迷惑千万と言える。結局コラピントは発進しないペレスを見てステアリングを右に切り、ピットレーン出口で並走しながら追い抜いていったが、このことについて問われたペレスはこう答えた。
「それはその通りだ。ラッキーなことに、彼が通り抜けてくれたことは何よりだった」
「僕たちは色々試したけど、レースの大半をクリーンエアで走るためにあのギャップが欲しかったんだ」
今回のスプリントのことを“テスト”と表現したペレスだが、その後行なわれた予選ではチームメイトのフェルスタッペンが最速タイムをマーク(ペナルティにより2番グリッドに)。ペレス自身も9番手に入り、SQ1敗退となったスプリント予選からの進歩を見せた。そのためペレスは、有意義なスプリントになったと感じているようだ。
「今日のテストを通して良い進歩が見られたと思う。良い方向性が見つかった。残念なことにマックスほどアグレッシブにはできなかったけど、間違いなく進歩したと思うし、明日のレースに向けてはもっとまとまって、バランスが良くなることを期待している」
「こういう短いレースでポジション争いから脱落している時、残りの週末に向けて準備をすることは理に適っている。ここでは多くのポイントを獲れないし、メインレースは明日だからね」