バカリズムの“狂気”で成り立つ、コスパ度外視な『私のバカせまい史』。その全過程を公開「スタッフさんは、どんな番組よりもつらい仕事だと思うけど…」

「一通りやり尽くしたあとに出てくるものこそがおもしろかったりする」

――こういうテーマだと発表がうまくいく、というような傾向はありますか?

僕はあんまり興味がないというか、フラットに向き合うという意味で、なんとも思ってない、むしろ愛がないときのほうがおもしろくなる感覚がありますね。愛情を持っていると、かえっておもしろくできない。

逆に、霜降り明星のせいやさんは、ものまねだったりとか、対象への愛にあふれているときが特におもしろくなるタイプ。

さらば青春の光の森田さんは、やっぱりちょっとバカにしているときが僕は一番好きですね。

ヒコロヒーさんは、割とどんなテーマでも自分っぽいネタに仕上げてくるタイプだと思います。

――ネタのストックについては、まだまだ続けていける感じですか?

これは番組制作に限らず、芸人にとってのネタも同じで、ネタ切れという意味では、とっくに切れてはいるんですよ。デビューして2年か3年もすれば、誰だってストックはなくなってくる。

ただ、ネタがないとか言いながらも、なんだかんだ常に新しいものは生まれてくるじゃないですか。むしろ、ストックがなくなってからが勝負というか、一通りやり尽くしたあとに出てくるものこそがおもしろかったりするので、そこはもう絞り出していきます。

――常にネタ出しとリサーチを続けていくしかない。

スタッフさんにしてみれば、どんな番組よりもつらい仕事だと思いますよ。普通の人間ならいつ飛んでもおかしくない。僕は異常者なので、全然そういう心配はないですね。その代わり、研究長であり異常者として、さっきも言いましたが、僕が率先して誰よりも時間と労力はかけるようにしています。

――労力とは別に、せっかく見つけた過去の映像や資料などを使用するには、権利関係のハードルもあります。

そうなんですよ。プロデューサーさんも「テレビの財産として後世に残したい」と言っているくらい、フジテレビの良心みたいな番組にもかかわらず、なかなか使わせてくれないことが多い。

許可だけでなく、二次使用のお金もかかるので、深夜番組の予算ではどうにもできなくて、映像を諦めることもよくあります。

でもそれで言うと、ご本人の許可がとれなくて映像が流せないのはまだしも、そもそも名前を出すこと自体がNGだったり、NGであることすらも世の中に知られてはいけない場合もあったりして、なかなかしびれますよ。

〈後編〉バカリズムが語るテレビ愛「テレビを悪く言う人は、テレビに関わらないでほしい」「必死に流行を取り入れようとすることの方がセンスない」 に続く

取材・文/おぐらりゅうじ 撮影/野﨑慧嗣

〈番組詳細〉

『私のバカせまい史』

毎週木曜日 24時25分~24時55分に絶賛放送中!

バカリズムがMCを務める、誰も調べたことがないような“せま~い歴史”=「バカせまい史」を紹介する、バカバカしくも知的好奇心をそそる新趣向のバラエティー番組。