eモータースポーツだからこそ東京・青山での盛り上がり! ホンダ公式イベントの決勝「GT Grand Final 2024」が開催

 ホンダが2023年に初めて開催した公式eモータースポーツイベントであるHonda Racing eMS。モータースポーツの感動を身近に感じてもらうことを目的としたこのイベントの2年目は、より多くの参加者を集めて開催された。

 PS5/PS4用ソフトのグランツーリスモ7を用いたeモータースポーツイベントとして行なわれたHonda Racing eMS 2024は、今年8月2日から9月1日にかけてオンライン予選が実施され、昨年の20万人を大きく超える23万5千人が参加し、タイムアタックを行なった。

 そしてそのタイムアタックの結果、年齢17歳以下の「U17クラス」、そして18歳以上を対象とした「Challengeクラス」の2クラス各上位10名が、12月1日Hondaウエルカムプラザ青山に集結……ここで23万人の頂点を決することとなった。なお大会ゲストとして現役のスーパーフォーミュラ/スーパーGT参戦ドライバーの野尻智紀が参加し、解説も務めた。

 12月1日、様々なイベントに使用されているウエルカムプラザ青山はeモータースポーツ仕様へ変化し、10台のレース用のコントローラーが並べられ、普段とは違う雰囲気を見せた。

 特に2024年大会のChallengeクラスでは、決勝大会に海外在住者も対象となったことで、10人中4人が外国籍という国際色あふれるレースとなった。

 注目のChallengeクラスは3レースによるポイント制での優勝争いとなり、レース1はHonda RA272、レース2はCIVIC TYPE R、そしてNSXのGr3マシンと車種を横断しての争いが繰り広げられた。

 事前の予選セッションによってグリッドを決めて争われたレース1では、昨年この大会を制したリアルの世界でもレーシングドライバーでもあるイゴール・大村・フラガが、ポールシッターの鈴木聖弥をうまくスリップストリームを活用して抜き去り勝利。実力を見せつける形となった。

 レース2はそのフラガが再び後方グリッドから追い上げを見せ、4位に入る活躍。ただレース1で3位となった佐々木拓眞がここで独走勝利を収めたことで、暫定ポイントでは佐々木がトップという状況となった。

 総合優勝の決まるレース3は予選セッションから行なわれたが、ここでは佐々木が躍動。ライバルに差をつけるタイムでポールポジションを獲得し、総合優勝への勢いをつけた。

 

 そして唯一タイヤ交換が必須で争われるレース3が始まると、予選から一転して佐々木は厳しい戦いを強いられた。スパ・フランコルシャンの24時間レースレイアウトで争われたレース3は、ケメルストレートでのスリップが大きなアドバンテージを生み出すことで、佐々木はオーストラリアから来たキリアン・ドルモンと、イタリアの伊達男ヴァレリオ・ガロに追い抜きを許してしまったのだ。

 佐々木はソフトタイヤを2本目のタイヤに選ぶアグレッシブな戦略で逆転を目指して攻めていったが、抜き切る事はできず……レース3はドルモンが勝利し、ガロが2位となった。

 一方で終盤の佐々木は使用義務のあるハードタイヤで、4番手以下のライバル達の猛攻を凌ぐ必要があった。一時は3番手を明け渡しそうになる瞬間もあったが、佐々木は気迫のディフェンスでこれをブロック。最終コーナーの立ち上がりも守りきり、3位を獲得した。

 佐々木はこの3位を守りきったことで、獲得ポイントの総合トップを維持。「GT Grand Final 2024」の総合優勝を飾った。総合2位は鈴木、総合3位はガロだった。

 佐々木は昨年の大会では悔しい2位に終わっていたこともあり、今回総合優勝を果たすことができ嬉しいと語った。

「今年はなかなか勝てないレースが多い中、こうやって優勝することができましたし、去年は2位という悔しい結果だったので有言実行でリベンジできて本当に良かったです」

「ソフトタイヤでロスをしてしまったので、最後ああなることは予想してたんですけども、最後すごい激アツなバトルの中で何とか守り切ることができて良かったです」

 

「なかなか勝てなかったレースが多かったので、今回すごく自信になりました」

「このメンバーの中で優勝というのは本当に大きな価値があると思います。今いい感じに波に乗っているので、このまま世界選手権も頑張って優勝目指していきたいと思います」

「GT Grand Final 2024」では現F1ドライバーの角田裕毅やF1候補生として知られる岩佐歩夢、また佐藤琢磨といったレーシングドライバーを輩出している鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ(現:ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿)で使用されている本物の教習用フォーミュラマシンを改造したeMS筐体“Honda eMS SIM-01”も初披露。実際にこの筐体を使用しての体験会も行なわれた。

 人里離れた場所に位置することの多いレース用のサーキットへ行くことなく、東京都心の青山という立地でも行なえるeモータースポーツ。当日は多くの観客がウエルカムプラザに集まっており、eモータースポーツの裾野が広がっていることが感じられるイベントとなったと言えそうだ。