親会社VWグループが財政危機もアウディF1計画に悪影響ナシ? そんな最中の株式カタール売却も「我々にはプランがある」

 アウディのゲルノット・ドルナーCEOは、同ブランドの親会社であるフォルクス・ワーゲン(VW)グループが直面している財政難によってF1へのコミットメントが悪影響を与えることはないと主張。チームの株式売却もその凶兆ではないという。

 大きな損失にあえぐVWグループは、少なくともドイツ国内の工場を3つ閉鎖し、数万人のスタッフをレイオフ。本国に残る工場を縮小して支出を削減する計画だ。

 こうした前例のない緊縮措置は、アウディが2026年から本格参戦するF1での成功に求められる資金を賄うことができないかもしれないという、より広範な影響を引き起こす可能性を示唆している。

 しかしアウディはカタール・インベストメント・オーソリティ(QIA)にチームの少数株式を売却することに合意したとカタールGPで発表。ドルナーCEOは、同社がF1で成功を収めるために必要な支出を続けることに疑問の余地はないと明言した。

 VWグループの財政難の影響について尋ねられたドルナーCEOは、次のように答えた。

「我々にはビジネスプランがあり、これが我々の仕事だ」

「このF1プロジェクトは、アウディの変革を語る上で欠かせないモノだ」

「資金を蓄えるだけでは未来は築けない。投資する必要がある。そしてアウディという会社を変革する必要がある。F1プロジェクトは、アウディの変革に不可欠なモノだと考えている」

 QIAとの契約による資金注入は、アウディが所有する現ザウバーへの投資強化に直接使用されることになっており、この動きがVWグループの財政難から追加資金を見つける必要があったことが引き金になったという指摘もある。

 しかしドルナーCEOは、大手長期投資家と提携を結ぶ計画は1年以上前から動き出したモノで、今回の騒動とは全くの無関係だと説明した。

 QIAとの取引とVWグループの財政問題との間に関連性はあるのかとの質問に対して、ドルナーCEOは「全くない」と答えた。

「私がアウディのCEOに就任した時、我々はプロジェクトの見直しを行ない、どう進めるかが問題になった。それが1年前のことだ」

「本当に全てを投入して、このプログラムを継続するという決断の一部には、我々は業界全体が複雑な移行期間にある中でより大きく考えなければならないということが関係していた」

「他のチームがそうであるように、我々もパートナーを迎え入れることにした。だから、それは関係ない」

「我々はちょうど1年前にミーティングを始めた。11月29日、QIAは初めてノイブルクにある我々の施設を訪れ、チームの情熱とプロフェッショナリズムを目の当たりにした」

 またドルナーCEOは、QIAが2026年からチームのネーミングライツを取得するかどうかはまだ決まっていないという。

「我々は今、それについて広い視野を持っている。今のところ、何も決定していない」とドルナーCEOはそう語り、少なくともアウディがチーム名のコントロール権を保持すると説明した。

「チームのタイトルスポンサーは間違いなくアウディになるだろう。そして、どのような体制になるのかは、未来が示してくれるはずだ」

 QIAがどの程度の投資を行なうかは明らかにされていないが、30%程度の出資を行なうと広く報じられている。約3億5000万ドル(約526億6000万円)規模の取引だ。

 アウディF1プロジェクトのCOOを務めるマッティア・ビノットは、この資金が直接ザウバーに注入されることは、チームが上位に食い込む時期を早める上で有用だろうと語った。

「最終的には、チームを勝てる状態にするために必要なモノであれば何でもいいと思う」とビノットCOOは言う。

「現在のトップチームや優勝チームとの差を見れば、確かに必要なことは沢山ある」