マクラーレンは、2025年シーズンのF1でドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルの両方を狙うためには、現在の成長具合に満足しているわけにはいかないと語った。
2024年シーズン、好調を続けるマクラーレンはコンストラクターズランキング首位に立っており、カタールGP決勝の結果次第では、ミカ・ハッキネンとデビッド・クルサードを擁した1998年以来となるタイトルが実現するかもしれない。
既に今季のドライバーズタイトルこそレッドブルのマックス・フェルスタッペンに譲ったが、マクラーレンは2025年に向けて、より良い結果を残すことを目標としている。
マクラーレンは特にシーズン後半でグリッド随一の速さを見せており、現行レギュレーション最終年となる2025年もトップランナーの一角を占めると期待されているものの、ライバルチームがここ数戦で勢いを盛り返していることから、さらにステップアップする必要があると感じている。
マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、2025年シーズンに待ち構える挑戦について次のように語った。
「我々が今話している時点では、コンストラクターズランキング首位で、さらにドライバーズランキングでも(ランド・ノリスが)2番手につけていて、上昇気流に乗っている。2025年シーズンは、このふたつを制覇するつもりで挑みたいと思っている」
「3ヵ月前なら、ライバルたちと比べて本当に好調な成長具合だと言えただろう。しかし、これはマクラーレン社内でも繰り返し言っていることだが、フェラーリにできたことを見てみよう。彼らはシーズン中盤のいくつかの混乱に対応し、高いパフォーマンスを引き出した。そして今、彼らは我々の知る限り、シーズン最後の数レースで最速のマシンを手に入れた」
「必ずしも最速のマシンではなかった時でさえ、レッドブルがどれだけパフォーマンスを引き出してきたかも注目に値する」
「メルセデスがラスベガスでやったこと、そして時折、信じられないようなパフォーマンス、信頼性、オペレーションを発揮することなどにも注目してみる必要がある」
「2025年に両チャンピオンシップでタイトル争いに加わるには、今のままでは不十分だ」
「自分たちの成長具合に満足している場合ではない。レベルやハードルを上げていく必要があると言うべきだろう」
コンストラクターズタイトル獲得はマクラーレンにとって大きな成果となるが、ステラ代表はドライバーズタイトルこそが多くの人々の関心を集めることを認めた。
ドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルのどちらを制したいと思うかと訊かれたステラ代表は次のように答えた。
「とても難しい質問だ。(親が)どの子どもが好みだ? と訊かれるようなモノだからね。みんな同じくらいだよ」
「ドライバーズタイトルの方がコンストラクターズタイトルよりもみんなの記憶に残りやすいと思うし、ドライバーズタイトル自体、究極の達成目標だと思う」
「私は好みを決めないと言っていたが、既に決めてしまったようなモノだ。ただ、これは時系列と年表を見て考える必要があると思う」
「マクラーレンの軌跡を考えると、コンストラクターズタイトル争いで我々がいるポジションは信じられないような挑戦だ。我々がタイトルを争えるというのは明らかだが、まだ長い道のりがある。挑戦できているのは、本当に素晴らしいことだ」
「興味深いことに、シーズン中に何度も話をした時、ランド自身も、我々が今いる場所やチームとしての軌跡を考えると、コンストラクターズの方が重要だと感じていた。基盤が出来上がったことを確認した上で、そこから築き上げていくみたいにね」
「ドライバーたちからのフィードバックは常に興味深い。彼らは、我々が共に何かを作り上げているように感じていた。だからこのマイルストーンを通過し、状況が整ってからドライバーズタイトルを目指そう」
「しかしドライバーズタイトルに関しては、最近はハミルトン(ルイス・ハミルトン/来季はフェラーリ)やフェルスタッペン(マックス・フェルスタッペン/レッドブル)がいて、そのハードルは信じられないほど高いと言わざるを得ない。ランドは最終戦までタイトル争いに踏みとどまることができなかったから、そのためにはチームがドライバーをサポートし続ける必要がある」
「というのも、我々はチームとして、シーズン開幕時に彼に十分なスピードがあるマシンを提供できなかった。マイアミでアップデートを投入して以降、彼はフェルスタッペンと同等のポイントを獲得している」
「チームの文化は、利用できるモノを最大限活かすだけでなく、才能を開花させ、特に逃したチャンスを見直し、学び、成長させるための基本的な要素だ」
マクラーレンは、カタールGPでコンストラクターズタイトルの獲得を決める可能性がある。F1スプリントを終えた時点で既にランキング2番手のフェラーリに30ポイント差、レッドブルに対して67ポイント差をつけている。決勝が終わった時点でこの2チームに対して45ポイント以上の差となれば、今季のタイトルはマクラーレンのモノだ。なお今回のレースで勝った場合には、フェラーリとのポイント差は、44ポイントでも良い。
ステラ代表はカタールGP決勝に向けて、マクラーレンが通常通りのレースを行なうのか、それともフェラーリの動きに対応することが目的になるのかと問われ、次のように答えた。
「我々は前を見る。後ろは見ない。現時点ではフェラーリが後ろにいるが、彼らは速いと予想している。スプリントで彼らは非常に速かった」
「フェラーリは速いし、我々のすぐ後ろからスタートするので、彼らを相手にすることになると思う。しかし我々の考え方は自分たちのレースをすること、ポイントを最大化すること、そしてできることなら優勝を狙うことだ」