人気マンガの実写化が決まると、キャラクターの再現度に不安の声があがることもあります。しかし、そのような「不安」の声にも負けず、見事な演技力と高い再現度で応えた俳優もいました。
ドラマ『ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編』8話のアシリパのカット (C)野田サトル/集英社 (C)2024 WOWOW
【画像】え…っ? 可愛すぎるだろ… こちらが「イトウにかぶりつく」「尾形にチタタプって言ってほしい」場面のアシリパさん(山田杏奈)です
「美しさとあどけなさ」完璧な再現度に称賛の声
人気マンガの実写化は、時としてファンから厳しい評価を受けることも少なくありません。しかし、配役発表時の懸念を見事に覆し、その演技力で観客を魅了したキャストたちもいました。近年の、絶賛された実写化ヒロインを振り返ります。
『累ーかさねー』淵累(演:芳根京子)
2018年に公開された映画『累-かさね-』(原作:松浦だるま)は、キスをすると顔が入れ替わる不思議な口紅を使い、ふたりの少女が大女優を目指すダークファンタジーです。天才的な演技力を持ちながらも、傷のある容姿に強いコンプレックスを抱く「淵累(ふち かさね)」を芳根京子さんが、美しい容姿を持ちながらも大成できない「丹沢ニナ」を土屋太鳳さんがそれぞれ演じています。
かわいらしい顔立ちの芳根さんがインパクトの強い外見を持つ累を演じることについて、原作者の松浦先生は「芳根京子さんの累がかわいいことに不安を感じてる方もいると思うんですが、映画開始10分ほどでまったく気にならなくなります」とコメントしていました。
その言葉どおり映画を観た人からは「累に感情移入してしまうほどの演技だった」「時間を追うごとに演技が冴え渡っていくのがすごかった」「傷ある部分以外が整ってるからこそ余計怖い」などと、違和感なく受け入れられたようで、その演技力に絶賛の声も見られました。
『ゴールデンカムイ』アシリパ(演:山田杏奈)
2024年1月公開の映画および、10月からWOWOWで放送中の『ゴールデンカムイ』(原作:野田サトル)でヒロインのアイヌの少女「アシリパ」を演じたのは、山田杏奈さんです。映画公開時23歳の山田さんが10代前半の少女を演じることについて、映画公開前には実年齢との差に不安の声もあがっていました。
その山田さんはオーディションでアシリパ役に選ばれており、公式のプロダクションノートでは、プロデューサー陣から、そもそも似ているビジュアルのほか「目の強さ」「笑うと屈託のない感じ」「内面が実年齢よりはるかに大人」といった点がアシリパに似ていると評されています。
映画公開後、およびドラマでも山田さんの演技は絶賛され、「美しさとあどけなさが両立していて、ものすごくアシリパさんだわ」「杉元に人を殺させたくなくて、何ともいえない表情をするとこ素晴らしい演技」「顔芸もうまいし、『尾形ぁ? ……どうした?』が良すぎた」と、その再現度の高さが大きな話題となりました。
『キングダム』河了貂(演:橋本環奈)
2019年から映画シリーズが始まった『キングダム』(原作:原泰久)で、今は亡き山民族の末裔である「河了貂(かりょうてん)」を演じたのは橋本環奈さんです。河了貂は、全身に蓑(ミノ)をまとった独特なビジュアルで、登場当初は性別すらも分からないミステリアスなキャラクターでした。
女性キャストが演じることが発表された時点で、河了貂の性別不詳要素はなくなってしまいましたが、パンフレットを読むと原作ファンの橋本さんは河了貂を演じるうえで「少年っぽさ」を意識したそうです。
鑑賞した人からは「本物はもう少し汚れているかも、美しすぎる」という意見も見られましたが、「作品へのリスペクトが伝わる再現度」「コメディ要素も控えめで演技がうまい」と、河了貂の持つ魅力を見事に再現し高く評価されました。映画シリーズは河了貂が「軍師」として活躍し出す前の段階で終わっており、続きが観たいところです。
※「アシリパ」の「リ」は小文字