『機動戦士ガンダムZZ』の主人公ジュドー・アーシタの壮年期~晩年が描かれているマンガがあった? 長谷川裕一さんの「ガンダム」マンガに登場する飄々とした謎の老人、グレイ・ストークの正体に迫ります。



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【画像】えっ、見た目に衝撃!  「ジジイになったジュドー」が描かれる『ガンダム』マンガを見る(4枚)

ジュドーは『Vガンダム』の時代まで生き続けた?

 アニメ『機動戦士ガンダム』でおなじみの「宇宙世紀」を舞台とする、長谷川裕一さんの「ガンダム」マンガに登場する「グレイ・ストーク」をご存じでしょうか。「木星じいさん」を自称するこの老人は、アニメ『機動戦士ガンダムZZ』の主人公「ジュドー・アーシタ」の晩年の姿だという見方が年々強くなっています。なぜなのでしょうか。

 グレイ・ストークが初めて登場したのは、1995年に発表されたマンガ『機動戦士Vガンダム外伝』です。宇宙世紀0153年に『Vガンダム』の主人公「ウッソ・エヴィン」と出会うグレイ・ストークは「16歳から60年以上、木星船で働いている」人物です。

 ジュドーは宇宙世紀0073年生まれ。木星船団ジュピトリスIIのクルーに志願したのが宇宙世紀0089年とされているので、少なくともジュドーとほぼ同い年であることが分かります。また、グレイ・ストークの搭乗機であるガンプも「長年酷使され続けたZZガンダム」を思わせる見た目や性能で、グレイ・ストーク≒ジュドー疑惑は95年当時からあったと思われます。

 グレイ・ストークはその後も長谷川裕一さんの作品に登場し、疑惑が確信へと大きく傾いたのはマンガ『機動戦士クロスボーン・ガンダム LOVE&PIECE』でした。

 同書のエピソード「KA・RR・AS」は宇宙世紀103年の物語で、若かりしグレイ・ストークが登場します。その姿は「無精ひげを生やして精悍になった大人のジュドー」といって差し支えなく、もし彼がジュドーであるなら30歳前後ということになります。また、グレイ・ストークにはルー、ミネルバというふたりの仲間がいることも判明しました。

「ルー」は『ガンダムZZ』の「ルー・ルカ」のことだと思われます。そしてもうひとりの「ミネルバ」については、『ガンダムZZ』最終話の1~2年後を描いていると思われるショートアニメ『GUNDAM EVOLVE../10 MSZ-010 ZZ-GUNDAM』において、前述したジュピトリスIIのクルーとなっているジュドーが「亡命を求めてきた要人M」を受け入れるシーンが描かれていました。

「要人Mの正体はミネバ・ザビで、その後の人生は偽名で生きた」と考えると、ここから12~13年後の物語である『LOVE&PIECE』のミネルバにピッタリつながります。

 そして、ジュドー=グレイ・ストークを裏付ける決定的な描写が、2022年にサービスを終了したオンラインゲーム『ガンダムジオラマフロント』で見られました。同作はいわゆるクロスオーバーモノですが、グレイ・ストークを見たジュドーが「お前、もしかして俺か!?」と語るシーンがあるのです。

 さらに、声優も矢尾一樹さんが双方のキャラを演じています。これはもう確定といってもよいでしょう。「公式設定」というよりは「公式が提示した可能性のひとつ」と解釈する方が近いかもしれませんが。

 1995年から20年以上にわたり描写が積み重ねられているグレイ・ストークの初登場作品『機動戦士Vガンダム外伝』は、現在では『機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス』という書名で電子版も配信されています。