これらの画像に映っているのは、土星探査機カッシーニがとらえた木星です。左は可視光(青)、中央は紫外線、右は近赤外線で撮影した画像です。
可視光で見た画像には、よく見る木星の姿が映っています。南半球に巨大な渦「大赤斑」があり、赤道に平行な縞模様が見られます。
全てのガスは短い波長で太陽光を効率的に散乱します。木星の雲の上にある大気も紫外線wp強く散乱するため、縞模様をつくる雲の層が見えなくなっています。非常に高い高度にあるもやだけが、明るい背景に対して暗く見えています。
紫外線の画像と比べると、近赤外線の画像は明暗がほぼ逆になっています。近赤外線の画像で暗く見えているのは、木星大気に豊富に存在するメタンガスによって近赤外線が吸収されている領域です。こちらも深い雲の層は見えておらず、高い高度のもやが暗い背景に対して相対的に明るく見えています。
画像はいずれも2000年10月8日に撮影されました。土星に向かっていたカッシーニ探査機は、2000年12月30日に木星でフライバイを行い、木星の重力を利用して加速しました。画像はその2か月半ほど前に7760万kmの距離から狭角カメラを使って撮影されたものです。
こちらは冒頭の紫外線画像を青、可視光画像を緑、近赤外線画像を赤に割り当てて色合成した擬似カラー画像です。
Image Credit: NASA/JPL/University of Arizona
(参照)Planetary Photojournal