世界累計発行部数1100万部を突破する廣嶋玲子・作、jyajya・絵による児童小説を実写映画化した『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(12月13日公開)の完成披露舞台挨拶が12月3日に竹芝のニューピアホールで行われ、天海祐希、上白石萌音、大橋和也、伊原六花、中田秀夫監督が出席した。
『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(12月13日公開)の完成披露舞台挨拶が行われた
2013年に刊行されるや子どもたちのあいだで絶大な人気を獲得。テレビアニメや舞台、ゲームソフト、西武園ゆうえんちとのコラボなど、様々なメディアミックスがなされてきた「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリーズ。幸運な人だけがたどり着けるという不思議な駄菓子屋“銭天堂”を舞台に、どんな願いも叶う“ふしぎ駄菓子”を買った人々の顛末を描く。
【写真を見る】上白石萌音、“銭天堂”の駄菓子に興味津々！
この日は“銭天堂”の撮影セットが再現されたステージでイベントが行われ、キャスト陣は「懐かしい！」と目尻を下げながら、細かく作り込まれたセットの思い出や駄菓子トークに花を咲かせ、天海は「この舞台をいただいてお芝居ができた」、上白石は「このセットのなかにいらっしゃる紅子さんとしての天海さんの存在感、説得力がすごかった」、大橋は「美術さんの再現度がすごすぎる。遊び心もある」、伊原も「大人でもワクワクして、一気に引き込まれる」と駄菓子屋セットのパワーを語っていた。
天海祐希、メイクチームに感謝
天海は、主人公の銭天堂の女店主、紅子役を大掛かりな特殊メイクで演じた。「愛されている原作。ファンの方がたくさんいらっしゃいますよね」と切りだした天海は、「そういう方たちにこそ楽しんでいただけるようにという想いが、心の大きな部分を占めていて。できる限り、紅子さんとして受け入れていただけるようにと考えていた」と原作ファンの存在を胸にしていたと、役作りを回想。メイクチームの奮闘に触れながら、「私は精神統一して座っているだけ。いろいろ試行錯誤してくださった」と感謝していた。
初の悪役に充実感を吐露した上白石萌音
紅子を敵視する“たたりめ堂”の女主人、よどみ役として自身初の悪役に挑んだのが上白石だ。上白石も「よどみのことが大好きなお子さんもたくさんいらっしゃると聞いて、皆さんが大好きなよどみに少しでも近づけるようにと考えていました」と覚悟しつつ、天海と同じようにヘアメイクや衣装にとても助けられたという。悪役は「楽しかったです。またやりたいです」とニヤリとして、会場の笑いを誘っていた。
生徒たちにメロメロだった大橋和也
銭天堂の噂を小学校の生徒たちから聞きつける小学校教師、等々力小太郎役の大橋は、本作でデビュー後映画初出演を果たした。教師役は初めてだという大橋は、「教壇に立つとみんなが一点集中で見てくれる。かわいすぎて、セリフが飛びました(笑)。みんなめっちゃかわいかった。裏でもずっと『小太郎先生、小太郎先生』と言ってくれてすごくうれしくて。『好きな子、おんの？』と聞くと、『いる！』って。かわいいんですよ」と生徒たちにメロメロ。また所属するグループ「なにわ男子」のメンバーには先生役をやるということを伝えていないといい、「恥ずかしくて。『ええ！大橋が!?』と言われるので、黙っておきました。みんな楽しみだと言ってくれているので、みんな揃って観に行かせます」と宣言し、天海はその様子を「後ろから見たい」と希望していた。
天海祐希への憧れを口にした伊原六花
そして銭天堂に迷い込む雑誌編集者、相田陽子役の伊原は「作品のなかで、ここまで振り幅がある役をやったことがなかった。難しかった」と初挑戦の詰まった作品で、「陽子には共感のできる悩みがある。撮影の前から、監督と相談しながら臨んだ」と語っていた。
笑顔でトークを繰り広げた
天海と上白石は対立する役柄として共演を果たしたが、天海は「萌音ちゃんとは共通のお知り合いがいて。その方からお話を伺っていた。いつか会えたらなと思っていたら、敵対する役で」とにっこり。「パブリックイメージとは違う役を、全力で楽しんでいらっしゃった。こちらも幸せになりました」と上白石の悪役を称えた。「ずっと憧れの方だった」と天海に羨望の眼差しを向けた上白石は、「天海さんがなんでも来ていいよと言ってくださった。思い切ってできました」と感謝を伝えたが、伊原も「高校生のころに、天海さんが司会をされた音楽番組でお会いしたことがあった。このお仕事を始めて、いつかお芝居でご一緒したいというのが夢だった。緊張もありつつ、正解を教えるわけではなく、ポンとヒントをくださる」と惚れ惚れ。これには上白石も「わかる！」と目を輝かせるなど、憧れの天海のすごみを実感した瞬間について2人で意気投合していた。
メガホンをとった中田秀夫監督
また大橋との共演の感想に話が及ぶと、天海は「すごいアイドルさん」と口火を切り、共演してみるとメディアで見ていた大橋のイメージ通りだったと感心しきり。「おはようございます！って(入ってくる)腰の低い、元気で、明るい、そしてハンサム。現場がひゃーって明るくなる」と現場の太陽のような存在だった様子で、「どうしてこんなお子ができるんだろうと思って、ずっと話を聞いていた。お母様はどういう人？どうやって育てられたのって」と興味津々で質問攻めにしたことを振り返りつつ、話をしていると「ちゃんと志を持ってここに向かって歩いていた方なんだなと思った。そうじゃなきゃ、どんと構えて足を大地につけて、ここまで来られないよな」ということを痛感したとのこと。「すばらしいわと思いました」と賛辞が止まらなかった。
「汗ダラダラ」と照れた大橋が、「天海さんをテレビで観ていた時は、『かっちょええ！』と思っていた。共演させてもらうと、かわいらしいところがいっぱいあった」と明かすと、天海は「もっと言って」とお願いして会場も大笑い。大橋は「(紅子の)メイクもされていて笑ったりすると取れてしまうので、『笑いづらい』と言っていたんですが、『よっしゃ笑かしてやろう！』と思って。ちょっといじめたくなる」とちゃめっ気たっぷりに語り、「いっぱい笑ってくれました。同じ目線に立ってしゃべってくださるので、初日から緊張がほぐれました」とお礼を述べた。本番一発OKになった際には「よっしゃ！」と2人で喜びの舞いをしていたと声をそろえつつ、天海は「皆さんに共通しているのが、とても真摯で、一生懸命にまっすぐぶつかってこられる方だったこと。心が洗われるようだった」と共演者たちに愛情を寄せていた。
取材・文/成田おり枝
