草彅剛が主演の舞台『ヴェニスの商人』に、俳優の野村周平が出演する。野村が演じる役柄は、富豪の美女ポーシャ(佐久間由衣)に求婚するバサーニオだ。誰もが知るシェイクスピア不朽の名作に初挑戦する野村に作品のことや、俳優としての現在の心境を聞いた。
ー『ヴェニスの商人』は有名な物語ですが、その感想はいかがでしたか。
意外にシンプルで驚きました。大きな物事が起こるわけでもないですし、草彅剛さん演じる主人公のシャイロックの最後も意外でした。シェイクスピアは、もっと難しいものかと思ったのですが、シンプルなだけにその分深い。簡単にスラスラ台本を読めているけれど、演じる時はそうはいかなくて。難しい言葉も出て来るし、どうすればお客さんに伝えられるかという難しさを感じました。
ー長く現代まで人々に愛されている理由が分かる気がしますよね。
面白いという感想の前に、読んでいてとても短く感じました。「え? もう終わり?」みたいな。戯曲もスラスラ読めましたが、簡単ではなかったですね。考えなければいけない<行>もあったりして、そういう意味では難しいと思います。一見簡単そうに見えるけれど、ちゃんと伝えないといけない物語というか、最終的にひとりだけ幸せになってなくない? みたいな。それをどう伝えるかが重要で。
結局、誰が悪なのか分からないし、ある人物たちが悪なのかと言えば、あの時代では違ったかも知れない。なので今現代でこれをやることも難しいと思いましたし、でもやったほうがいいとも思う。今の世の中もこういう感じだろうと、提示しているような気がします。
あとは台本を読んでいる段階だけでなく、演じている時も面白いんです。演出の森新太郎さんのパワーもあると思いますが、自分なりに感じることが出来ていて。いいことだなと思っています。
ー主演の草彅剛さん含め、共演者の方たちとの現場はいかがですか。
特にピリピリすることもなく、楽しくやっています(笑)。演出の森さんともいい感じに話し合いをしながらやらせてもらいました。たとえば僕は(あるシーンでは)こう動きたい、その場合の言い回しはどうするか、相談しながら進められていたと思います。
ーそして2024年、映画では『十一人の賊軍』も話題となり、『ヴェニスの商人』も大きな舞台だと思いますが、どんな一年でしたか。
新しいこともいろいろとやったので、2024年、ちょっと人生が変わった年だなと思いました。31歳になる年だったので、それまでにいろいろなことをやらなくちゃなということで、その新しいことの内容は言えないのですが、転機の一年になったかなと。確か去年ですかね、仕事への向き合い方が変わったのは。向き合い方が変わった後の作品が、『十一人の賊軍』だったり。転機と言うと大袈裟ですが、新しいことが実ったと思う一年でした。
ー30代を過ごすにあたってどう考え方を変えたのですか?
もっと仕事をちゃんとしようと思っただけです。以前もちゃんとしていましたが、内臓から人格を変えるような役作りをしようとか。メソッドアクティングじゃないですけれど、そういう感じにしようと思ったんです。そうしたらそのやり方が自分の中でハマッたので、そういう新しい発見が出来た一年だったなと。プロ中のプロを目指そうと思った一年でしたね。
ー最後になりますが、『ヴェニスの商人』をご覧になる方にメッセージをお願いいたします。
実はこれまでシェイクスピア作品のお話をいただいたことは何度かあったのですが、自分の中で避けていたところもあり、挑戦ができず残念でした。今はクラシックな音楽や歴史を好きになり、そのタイミングで今回のお話をいただいたので、ぜひやらせていただきたいと思いました。自分としては約2年半ぶりの舞台で、初のシェイクスピア作品です。シェイクスピア作品を初めて観る方もぜひお越しください。
『ヴェニスの商人』
脚本:ウィリアム・シェイクスピア
訳:松岡和子
演出:森新太郎
出演:草彅剛
野村周平 佐久間由衣 大鶴佐助 長井短 華優希 小澤竜心 忍成修吾
春海四方 大山真志 青柳塁斗 石井雅登 冨永竜 田中穂先 天野勝仁 久礼悠介
【東京公演】日本青年館ホール:2024年12月6日(金)~22日(日)
【京都公演】 京都劇場:2024年12月26日(木)~29日(日)
【愛知公演】 御園座:2025年1月6日(月)~10日(金)
【製作】TBS / CULEN
【公式ホームページ】venice-stage.jp
【公式X】https://x.com/venice_stage
【公式Instagram】https://instagram.com/venice.stage/
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