格安イヤホン探訪では、これまでにメジャーメーカーやコンビニ、100均など、数多くの製品の音を聞き比べてきた。すべてとは言わないまでも、有名どころはほぼやり尽くしたはず……だったが、意外なブランドの製品の音を聞いていないと判明した。
最近頂いた問い合わせによると、「無印良品」もイヤホンを出しているという。ナニ! そんなメジャーなところを落としていたとは、我ながら不甲斐ない! ってことで、さっそくマイク付きの990円の有線イヤホンを購入して、その音質をたしかめてみた!
・無印のイヤホン
近頃の無印良品は私にとって、カレーとコスメの店という印象が強い。ほかにも取り扱っている商品がたくさんあるのは知っているけど、カレーと化粧品の品数の多さは飛び抜けている気がするからだ。
そのような状況で、イヤホンを扱っていると気づくのは難しくないかい? とにかく最寄のお店で売ってたので買ってきた。
製品の仕様をたしかめようとパッケージを確認してみたら、どこにも記載がない。こんなの初めて。さすが「無印」というだけあって、パッケージは驚くほどあっさりしている。
付属の説明書を確認してみると、テクニカルデータとして製品仕様が書かれていた。
再生周波数帯域は20~2万3000ヘルツなので、音抜けの良い高音が期待できそうだな。そのほかの数値はおおむね、他の格安有線と同じくらいか。
中身は本体とイヤーピース(XS・S・M・L)の4種類。他社のイヤーピースと比べると、同じサイズでもやや大きく気がする。
デフォルトでイヤホンに付属しているのはMサイズ。形のせいかもしれないけど、やっぱり大きい気がするな。Lサイズのように見えなくもない。
イヤーピースを外して、ノズル部分を覗くと見たことがない形状をしているな。ノズルに詰まっているのはウレタン素材かな? 小さな穴が2つ開いてる。変わってるな、コレ。
はたしてこの独特な構造は良い音を聞かせてくれるのか?
着けてみると、装着感は悪くない。イヤーピースがやや大きいので、しっかりと耳をふさいでいる。
(広告の後にも続きます)
・聞き比べ
今回聞き比べに使用するのは、オアシスの「Wonder Wall」である。先攻はいつものように、「ハイユニット HSE-A1000」からだ。
15年ぶりに再結成し、来年夏からイギリスツアーの始まるオアシス。10月には日本にも来る予定だが、またノエル・リアムのギャラガー兄弟が仲違いしないか心配だ……。
それはさておき、この曲は彼らの代表曲のひとつで、私が個人的にもっとも好きなオアシスの曲でもある。
冒頭、咳払いの音から始まるのだが、ハイユニットで聞くとその音すら臨場感がある。オホン! とひとつ咳払いをした後にアコースティックギターのイントロが始まり、歌が入って次第に楽曲が形成されている。そのダイナミックな広がりを、ハイユニットはしっかり再現している。
続いて、無印でも聞いてみよう。
高音の抜けに期待したのだが、詰まったような音がしている。ノズル部分に入っていたウレタン素材っぽい何かを通した、そのままの詰まり感のある音だ。
強いていえば、オアシスに似ていると定評があるコピーバンドがレコーディングしたテープのような音。不自然なほどの抜けの悪い音に、逆に驚いてしまった。なんでこうなったのかな? 2万3000ヘルツまで出るはずが、体感的には半分くらいの音域しか出ていないような~……。ってことで順位に変動なし!
1.アルペックス(Hi Unit)「ハイユニット HSE-A1000(PK)」 税込712円
2.JVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン」 税込821円
3.DENON「AH-C260」 税込927円
このランクは随時更新していきたいと思う。皆さんの音楽ライフの参考になれば幸いである。
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24