プレイヤーのゲーム愛溢れる語りも
RTA in Japanは実況や解説も見どころの1つだ。プレイヤー本人が解説する場合もあれば、プレイに集中するために解説者を別に設ける場合もある。深すぎるゲーム愛ゆえの珍エピソードが飛び出すことも少なくない。
例えば、ポケットモンスターの写真を撮り、高い評価を狙うゲーム『ポケモンスナップ』のプレイヤーには次のようなエピソードもある。
「今回『ポケモンスナップ』のRTAを行うプレイヤーは、中古のソフトを片っ端から収集しているそうです。ソフトの違いがタイムに影響する、ということは別になくて、中古ソフトに残っている前の持ち主のスコアを一つひとつ確認して、自分の得点が一番高いことを確かめているみたいですね」(中島氏)
「ポケモンスナップの世界記録を持つスイス人プレイヤーに会いに、単身スイスへ乗り込んだこともあるそうです」(中村氏)
まさに、『俺より強いやつに会いに行く』といった様相である。プレイヤーがゲームにかける情熱は留まることをしらない。
ほかにも、一つの作品だけでなく、シリーズすべてに巨大な愛情を注ぐ方もいる。
「『とっとこハム太郎3 ラブラブ大冒険でちゅ』のRTAで出場するかたは、ほかのハム太郎シリーズのRTAでも世界記録を総なめしていますね」(中島氏)
さらに、ゲームとは一見関係がない特技を活かし、攻略を有利に進めるプレイヤーも。
「『進め! キノピオ隊長』は各ステージに用意されたギミックを解きながらゴールをめざすゲームです。前のステージを攻略、あるいはアイテムを一定数集めることで次のステージが解放される仕組みなのですが、なかには攻略が必須ではないステージもあります。
どのステージでいくつのアイテムを回収し、ゴールをすれば訪れるステージ数を最少にできるか、プログラムを書いてコンピュータで計算した方もいます」(中村氏)
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謎のゲームに注がれる謎の技術!
RTA in Japanでは普段目にしないような、古今東西さまざまなゲームのRTAも行われる。
そのひとつ、『クッキークリッカー』はクッキーの量産が目的のゲームだ。操作はシンプルで、画面上のクッキーをクリックすると、クッキーが1枚焼ける。作ったクッキーを消費して設備投資すると生産ペースを加速でき、クッキーがもらえるボーナスタイムなどもある。
「『クッキークリッカー』では4人のプレイヤーによる、100万枚生産レースを開催します。誰が一番早く100万枚焼けるかを競うのですが、設備投資を行うタイミングはもちろん、純粋なクリック力が勝敗を分けます。手を痙攣させてクリックをするプレイヤー、マウスを裏側から叩いた振動でクリックするプレイヤーなど、あの手この手で連打する様子が見れるでしょう」(中島氏)
「試合は1対1の勝ち抜き形式で、1試合ごとに20分のインターバルを設けています。というのも、さすがに連続でやると手が疲れるので無理、と選手から要望があったんです。おそらく冷やしたり、ストレッチしたりするのでしょうが、そういった休憩時間の使い方にも注目ですね」(中村氏)
また、『バーガーバーガー』というハンバーガーショップ経営シミュレーションゲームのRTAも行われる。こちらはメニューの開発や設備投資などを通じて利益を伸ばし、店舗数を増やしていく趣旨のゲームなのだが、RTAでは法外な値段の単品バーガーと若干割安なセット商品の2種類のみを展開し、セット商品に客を誘導して稼いでいく。