0.01秒の戦い!  ゲームクリアのスピードを競うRTA(リアルタイムアタック)とは

同時接続数は最高18万人! RTAの祭典「RTA in Japan」とは?

中島氏によれば、RTAが盛り上がりを見せ始めたのは2010年初頭頃。当時、海外ではすでにRTAのイベントも開催されるようになっていたそうだ。一方、国内ではじめて複数のタイトルが集まる大規模なオフラインRTAイベントが開催されたのは2016年のこと。それが、中島氏と中村氏が理事を務める「RTA in Japan」である。

「世界ではどんどんRTAが広まっているのに、国内で披露できる場がないのが非常にもどかしかったんです。私自身、一人の走者として業界を盛り上げたい、もっと走者を増やしたいという思いで、RTA in Japanを立ち上げました」(中島氏)

RTA in JapanはRTAプレイヤーがオフライン、オンラインなどで一堂に会し、それぞれが代わる代わる自身の得意ゲームのRTAを行っていくイベントだ。4〜5日間を通して開催され、期間中は24時間、参加者によるRTAが次々と披露される。大会の模様はTwitchで生配信されており、アーカイブはYouTubeでも視聴可能だ。

2016年12月に行われた第1回の参加者は50人前後だったそうだが、回を重ねる毎に規模が拡大していったという。

「2021年の冬に開催された12回目のイベントの参加応募者は500人と、初回と比べて10倍に増えました。視聴者数も増え続けており、直近の大会の同時接続数は平均で約5万人。最高同時接続数は10万人に上っています。

歴代最高の同時接続者数は2021年夏のRTA in Japanで行われた『リングフィットアドベンチャー』のRTAで、18万人も集まりました。運営側としても、どうしてここまで盛り上がっているのかと不思議に思うくらい、盛り上がりましたね」(中村氏)

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「eスポーツがサッカーなら、RTAは陸上競技」

ゲームの大会といえば、eスポーツを思い浮かべる読者も少なくないだろう。その注目度から、RTAも一つのカテゴリーとして組み込まれていく可能性がありそうだが、中島氏と中村氏はRTAがeスポーツになることはないだろうと語る。

「RTAのテクニックはスポーツでいうスーパープレーだとお話しましたが、RTA自体は陸上競技や水泳のように、勝敗よりも純粋なタイムに重点を置いています。一方、eスポーツで取り上げられるゲームは野球やサッカーのような、試合がメインの作品。方向性が少し違うんです」(中村氏)

「RTA in Japanは世界記録をめざす大会と誤解されがちなんですが、実際はショーケース、走者の技術のお披露目会なんです。今はとにかくRTA走者の活躍の場の提供に注力していて、それ以上のことはまだ考えていません」(中島氏)

最後に、お二人にRTAの魅力をお伺いした。

「本来ならクリアに数十時間以上かかることが想定されているゲームが、1時間足らずでクリアできてしまうこと。一つのプレイスタイルとしてもかなり面白いので、まずは気軽に始めてみてほしいです」(中島氏)

「RTAで披露されるテクニックは一見難しそうなんですが、コツを知ってしまえば簡単に再現できるものも少なくないんです。もちろん練習次第ではありますが、誰にでも記録を狙うチャンスがある。そのハードルの低さもRTAの魅力ではないでしょうか」(中村氏)

2022年も、8月11日から15日にかけて『RTA in Japan Summer 2022』が開催予定だ。イベントの模様は例年通りTwitchからリアルタイムで視聴できる。一つのゲームに情熱を注いだ猛者たちのスーパープレーが、今年も見られるかもしれない。

取材・文/笠木渉太

#2 「連続30時間プレイ」「同一ソフト800本保有」達人に聞くRTAの魅力