「寝坊」「八つ当たり」「タバコも吸えず」イライラ募る石破首相、唯一の救いは野党の不和と維新共同代表に就任した前原誠司元外相?

11月28日に開会した臨時国会で、野党と本格論戦を交わしている石破茂首相。代表質問や首相にとって初となる予算委員会に臨んでいるが、早朝の国会答弁の勉強会に遅刻するなど、お疲れモードのようだ。ただ、首相にとって唯一の光明といえるのが、全体では議席数を増やしたものの存在感を示しきれない野党だ。とくに「壊し屋」前原誠司元外相が日本維新の会の共同代表に就いたことで、野党間の関係がさらに壊れつつあるようで……。

国会答弁の勉強会に寝坊で20分ほど遅刻

自公で衆院の過半数を確保できていない状態で、石破内閣が野党と対峙する臨時国会。企業・団体献金の扱いも含めた政治資金規正法の再改正の議論や、首相が野党から追及を受ける予算委も行なわれ、内閣支持率が再び下落する可能性もある。また、年末までには「103万円の壁」の協議も大詰めを迎える。

少数与党のかじ取りを担う石破首相のストレスは日に日に強くなっているようだ。

「石破氏は、衆院選での自公過半数割れについて『厳しい警備体制で、有権者とのふれあいもろくにできなかったから負けたんだ』と周囲に当たるなど、日々いらだちを隠しきれていないようです」(首相官邸関係者)

また、愛煙家として知られる石破氏だが、首相就任後は分刻みのスケジュールに追われ、首相官邸敷地内の喫煙所が不便な場所にあることもあり、これまでのように1回あたり2本吸って一服、ということも簡単にはできなくなったという。

そんな中で、石破氏の心労がピークに達したのか、「寝坊」騒動も。12月3日には、朝6時から予定されていた、国会答弁の勉強会に20分ほど遅刻。寝坊したとみられている。

しかし、首相にとって唯一の光明ともいえるのは、全体で議席数を増やしたものの存在感を発揮しきれていない野党だ。

とくに、大阪府の吉村洋文知事が代表戦で圧勝した日本維新の会は、その代表選が盛り上がらず、党勢の低迷が続く。そして共同代表には、維新に合流したばかりの前原誠司氏が就いたが、この人事に早くも懸念の声が上がっている。

そもそも前原氏は、2023年末、所属していた国民民主党を離れ「教育無償化を実現する会」を設立。当初から維新への合流が既定路線とみられており、10月の衆院選で、前原氏らが維新に合流した経緯がある。

それだけに、維新の国会議員団にとって前原氏は「外様」の存在である。いくら前原氏がベテランとはいえ維新の国会議員団をグリップできるのかは未知数だ。

さらに、維新が構造的に抱えている問題として、大阪組と東京組の深い溝がある。

維新のお膝元は大阪にあり、東京の国会議員団よりも大阪の吉村氏らの意向が優先されることもしばしばだ。

とくに、維新の看板政策である旧文通費改革などの「身を切る改革」についてはその傾向が顕著で、維新所属の国会議員が「永田町の政党間協議で方向性を決めても、後から大阪がちゃぶ台返しをしてくる」と嘆くこともある。

もともと大阪組と東京組の溝がある維新で、「外様」の前原氏が共同代表に就くと、「前原氏が国会議員団をまとめきれるか。そして吉村氏と前原氏がうまく意思疎通をとれるのか」(全国紙政治部記者)と、早くも懸念の声が上がっている。

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前原氏のラブコールにも、野党は結集できず

前原氏は「非自民・非共産」による政権交代を訴えてきたが、前原氏が維新の共同代表についたことで、皮肉にも他の野党との連携には難航が予想される。

そもそも前原氏は民進党代表時に小池百合子東京都知事率いる希望の党との合流を画策。そこから「排除」された議員らが中心となって結成されたのが立憲民主党だ。

そのため、立憲議員からは「かつて前原氏は同じ党の仲間だったが、今はもう話もできない。民主党・民進党時代の仲間で集まることもあるが、前原氏は呼んでいない」と距離を置かれている状態だ。

そして、前原氏と国民民主との関係性はさらに厳しい。前原氏は除名処分を受けた国民民主について「昨日の敵は、今日の友。玉木代表、榛葉幹事長とも意思疎通ができる」と自信を見せたが、玉木氏は前原氏の維新共同代表就任について記者団から問われると「他党の人事の話なので、何かコメントすることは差し控えたい」とそっけない反応を見せた。

一方、国民民主内部も混乱している。玉木氏は不倫問題を受け、来年3月3日まで3ヶ月間の役職停止処分が決定。「政府・与党内では、国民民主が力を入れる『103万円の壁』の引き上げ議論が大詰めを迎えていますが、発信力のある玉木氏が記者会見すらしないことになり、交渉力の低下が懸念されています」(全国紙政治部記者)

そして野党第一党の立憲は、メディア露出が増えた国民民主のあおりを受ける形で存在感が低下。JNNが11月30日、12月1日に実施した世論調査では、立憲の支持率は国民民主を0.3ポイント下回る8.5%となった。

「参院選まで時間もあるため、自民党内はすぐに石破おろしを始めるタイミングではない状況です。ただ、積極的に石破氏を支えてくれる議員も党内にあまりおらず、野党の頼りなさだけが救いでは、首相の心労はまだまだ続くのでは」(自民党関係者)

首相にとっては、簡単に「年忘れ」とはいかない年末になりそうだ。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班