【M-1】令和ロマンの“連覇”の下馬評が圧倒的に高いワケ…くるまの「分析力」の高さとM-1を連覇して出たい「国民的番組」

結成5年目となる2023年のM-1グランプリで優勝し、今年史上初の連覇を狙う令和ロマン(髙比良くるま、松井ケムリ)。準決勝では、前回大会王者という贔屓目なしに、誰もが納得の決勝進出を果たした。前人未到の偉業に向けて、あと一歩となった彼らの強み、そして、2年前に語っていた野望とは。

文句なしの堂々たる決勝進出

12月5日にNEW PIER HALL(東京)で開催された準決勝。総勢31組、令和ロマンの出番は準大トリとなる30番目だった。

準決勝はA~Dまでの4ブロックに分かれて行われるが、今年は歴戦の猛者「ロングコートダディ」がワイルドカードとしてトップバッターで発表したことも関係してか、会場は一気にウォームアップ。

Bブロックが始まる頃には完全に温まり、Cブロックで少し疲れが見え、Dブロックでまた盛り返したような雰囲気だった。

それを踏まえた上で、令和ロマンの会場でのウケ具合としては、観客で見ていた人のほとんどが「決勝進出間違いなし」と確信できるレベルだった。会場全体が次のボケを待っている空気が漂っており、ほかのコンビよりも拍手笑いも多かった。

準決勝直後に更新された令和ロマンの公式YouTube動画では、くるまは自らのネタを振り変って「無難」とキッパリ。ケムリもそれに共感していたが無事、決勝進出を決めた。

次に気になるのは“連覇する可能性はどれくらいか”ということだ。

今年は令和ロマンの再挑戦が話題を呼んでいるが、M-1チャンピオンに輝いたコンビが再挑戦することは珍しくなく、チャンピオンが再び大会に参戦したケースが過去に3回ある。

フットボールアワーは第3回大会の2003年に優勝したのち、2004年、2005年は不参加だったものの、2006年に再び出場。チュートリアルには敗れたものの、準優勝を果たしている。

NON STYLEは2008年に優勝した翌年にも出場。ストレートで決勝には進めなかったものの、敗者復活戦を勝ち抜き、決勝戦で3位に入った。

さらに、2009年に優勝したパンクブーブーも翌年に出場し、3位という結果に。M-1チャンピオンの再挑戦は、どれも素晴らしい結果を残している。ただ、誰も2度目の優勝には届いていない。

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令和ロマンはなぜ連覇できそうなのか

「M-1で優勝するのには、会場全体を爆発させるほどのウケが必要です。まだ世間に手の内を知られていないコンビは、インパクトと勢いでそのまま優勝をかっさらいやすいが、常連組はインパクトがなくて決め手に欠け、一度優勝を逃すとずるずると沼にはまってしまう。笑い飯、和牛、オズワルドらがそのパターンでしたね。

これはM-1チャンピオンにも当てはまり、優勝した年ほどのインパクトを残せないために、再挑戦ではいいところにまではいくものの、あと一歩で2回目の優勝を逃してしまうのです」(テレビ局関係者)

ただ、令和ロマンに限っては、これらの常識を打ち破る可能性がある。その理由が、くるまの非常に高い分析力だ。

2022年の11月に「集英社オンライン」にてインタビューした際、くるまは芸歴一年目からM-1の分析をしていると明かしたうえで、M-1は大きく分けて、年ごとに3つのパターンに分けられると話していた。

「大会が始まる前から、『最近はこういうネタが流行ってる』というのはなんとなくあるんです。前年のM-1が終わったときに新しい流れが始まるというか。例えば、錦鯉さんが優勝したら、シンプルなネタが流行り出すとか。
今は全国にある吉本の劇場のライブを配信で見れるので、そこで傾向を把握しています。その流行りから推測される自分たちに合ったネタを準々決勝から準決勝に向けてチューンナップする感じです」(くるま)

「今年(2022年)は簡単に言うと、ベタから1個外れてますね。僕はネタのトレンドをシンプルなやつ、1個深いやつ、その深いやつすらもすかすやつ、という3段階に分けて考えています。この3つで流行りが巡るんですが、今年はその2つ目のイメージです」(くるま)

実際にこの年、優勝したのはウエストランド。くるまの分析は確かに当たっていたといえそうだ。

そして、自身が初の決勝に進出した際は、その分析能力をいかんなく発揮。彼らはトップバッターという圧倒的に不利な出場順となったのだが、見事に優勝を果たした。

この裏話として、くるまはこの年、決勝用には4本のネタを用意していて、トップバッターになった際にはそれに向いた、つかみの多いネタを披露したと明かしている。